法人税法

 一.  減価償却制度

 1 改正の内容
  (1)  減価償却資産の償却の方法
     平成19年4月1日以後に取得をされた減価償却資産の償却の方法について、残存価額が廃止され、その計算方法が改正されました。具体的には、次のとおりです。
   
1  定額法
   取得価額に直接定額法の償却率を乗ずることとなりました。
 
2  定率法
   新たにいわゆる250%定率法という償却方法を採用することとなりました。
 
3  生産高比例法
   取得価額をその資産の耐用年数の期間内における採掘予定数量で除して計算した金額に当期の採掘数量を乗ずることとなりました。
 
4  償却の方法に関するその他の改正
 
  平成19年3月31日以前に取得をした減価償却資産の償却の方法
   平成19年3月31日以前に取得をした減価償却資産については、償却の方法は、従来の償却の方法により償却限度額を計算することとされています。ただし、新しい償却の方法と区別するために、その名称が、定額法は旧定額法に、定率法は旧定率法に、生産高比例法は旧生産高比例法に改正されています(法令481)。
  平成19年4月1日以後に事業の用に供した減価償却資産
    法人が平成19年3月31日以前に取得をし、かつ、平成19年4月1日以後に事業の用に供した減価償却資産については、その事業の用に供した日において、その減価償却資産を取得したものとみなして、新しい減価償却制度の規定を適用することとされています(改正令附則112)。
   
  (2)   減価償却資産の償却の方法の選定等
   
1  償却の方法の選定の原則
   平成19年4月1日以後に取得をされた減価償却資産は、平成19年3月31日以前に取得をされた減価償却資産と区分した上で、その減価償却資産の種類ごとの区分又は二以上の事業所若しくは船舶を有する場合にはその事業所若しくは船舶ごとの区分ごとに、確定申告書の提出期限までに償却の方法を選定して、「減価償却資産の償却方法の届出書」を納税地の所轄税務署長に届け出ることが原則となります(法令5112)。
 
2  償却の方法の選定の特例(みなし規定)
   平成19年4月1日以後に取得をされた減価償却資産について、
 
 平成19年3月31日以前に取得をされたとしたならば、平成19年3月31日以前に取得をされ、既に旧定額法、旧定率法又は旧生産高比例法を選定している減価償却資産(旧償却方法適用資産)と同一の区分に属する場合
  で、かつ、
 
  上記1の選定の届出をしていない場合
  には、旧償却方法適用資産につき選定していた旧定額法、旧定率法、旧生産高比例法の償却の方法に応じて、それぞれ定額法、定率法又は旧生産高比例法を選定したものとみなされます(法令513)。
 
3   法定償却方法
   上記1の届出を提出していない場合で、上記2にも該当しない場合には、法定償却方法を適用することになります。平成19年4月1日以後に取得をされた減価償却資産についての法定償却方法は、次のとおりです(法令53)。
 
 建物の附属設備、機械装置、船舶、車両運搬具、工具及び器具備品(鉱業用減価償却資産及びリース資産は除きます。) 定率法
 鉱業用減価償却資産及び鉱業権(リース資産は除きます。) 定額法
 
4   償却の方法の変更
 
 二以上の事業所又は船舶を有する内国法人で事業所又は船舶ごとに償却の方法を選定していないものが、事業所又は船舶ごとに償却の方法を選定しようとするときも、償却方法の変更の手続きに基づき変更できることが明確化されました(法521)。
 減価償却資産の償却の方法の変更の手続きについては、イ以外の改正はなく、その新たな償却の方法を採用しようとする事業年度開始の日の前日までに償却方法の変更の承認申請書を納税地の所轄税務署長に提出し、その承認を受けなければならないこととされています(法令52)。
     
  (3)  資本的支出
   
1  資本的支出があった場合の原則
   平成19年4月1日以後に資本的支出を行った場合には、その資本的支出は、その資本的支出とされた金額を取得価額として、その資本的支出の対象となった減価償却資産と種類及び耐用年数を同じくする減価償却資産を新たに取得したものとされました(法令551)。
 
2  平成19年3月31日以前に取得をされた減価償却資産に対する資本的支出の特例
   平成19年3月31日以前に取得をされた減価償却資産に対する資本的支出を行った場合には、従来どおり、資本的支出を行った事業年度において、資本的支出の対象となった減価償却資産の取得価額に資本的支出の金額を加算することができる特例が設けられています(法令552)。
 
3  定率法を採用している減価償却資産に対する資本的支出の特例
   前事業年度又は前連結事業年度において資本的支出がある場合において、その資本的支出の対象となった減価償却資産(以下「旧減価償却資産」といいます。)につき定率法を採用し、かつ、その資本的支出により新たに取得したものとされた減価償却資産(以下「追加償却資産」という。)も定率法を採用しているときは、当期の開始の時において、その時における旧減価償却資産の帳簿価額と追加償却資産の帳簿価額との合計額を取得価額とする一の減価償却資産を、新たに取得したものとすることができます(法令554)。
 
4  同一事業年度内に行われた複数の資本的支出の特例
   前事業年度又は前連結事業年度において複数の資本的支出がある場合において、その資本的支出により取得した追加償却資産につきそのよるべき償却の方法として定率法を採用しているときは、上記3の適用を受けない追加償却資産のうち、種類及び耐用年数を同じくするものの当期の開始の時における帳簿価額の合計額を取得価額とする一の減価償却資産を、その開始の時において新たに取得したものとすることができます(法令545)。
     
  (4)  償却可能限度額の廃止等
   
1  平成19年4月1日以後に取得をされた減価償却資産
   平成19年度税制改正においては、平成19年4月1日以後に取得をされた減価償却資産について、上記(1)で記載したとおり残存価額が廃止されるとともに、合わせて償却可能限度額も廃止され、備忘価額1円まで償却できることとなりました(法令611二)。
 
2  平成19年3月31日以前に取得をされた減価償却資産
   平成19年3月31日以前に取得をされた減価償却資産については、従来どおりの計算であり、残存価額及び償却可能限度額が存置されています。ただし、償却可能限度額に達した減価償却資産については、その達した事業年度の翌事業年度以後5年間で備忘価額まで均等償却できる特例が設けられています。
     
  (5)  耐用年数の短縮
     技術革新のスピードが早く、実態としても使用年数の短い減価償却資産について、法定耐用年数の見直しが行われました。具体的には次の設備について、見直しが行われています。
   
1  半導体用フォトレジスト製造設備 5年
 
2  フラットパネルディスプレイ製造設備又はフラットパネル用フィルム材料製造設備 5年
     
  (6)  リース資産等の減価償却等
     六1(3)をご参照下さい。
     
  (7)  その他
   
1  減価償却資産の償却限度額
   今年度の税制改正において、所有権移転外リース取引については例外なく売買があったものとすることとされていますが、企業会計において一定の場合に借手の賃貸借処理が認められています。そこで、賃借料として処理した場合においても減価償却制度の対象とするため、リース資産につきその賃借人が賃借料として損金経理をした金額は、償却費として損金経理をした金額に含まれるものとする(法令131の23)とともに、そのリース資産が償却限度額の計算の対象となる減価償却資産に含まれるようにするため、規定の整備が行われました。
 
2  事業年度の中途で事業の用に供した減価償却資産の償却限度額の特例
   事業年度の中途においてその事業の用に供した定額法又は定率法を採用している減価償却資産の償却限度額は、旧定額法又は旧定率法の場合と同様に、定額法又は定率法により計算した償却限度額に相当する金額を、その事業の用に供した事業年度の月数で除し、これにその事業の用に供した日からその事業年度終了の日までの期間の月数を乗じて計算した金額によることとされました(法令591)。また、生産高比例法も旧生産高比例法と同じ処理をすることとされています。
   
3  事業年度が1年に満たない場合の定率法の償却率
   事業年度が1年に満たない場合には、旧定額法の償却率は、その減価償却資産の耐用年数に対応する耐用年数省令の別表に定める償却率にその事業年度の月数を乗じて、これを12で除したものとし、旧定率法の償却率は、その減価償却資産の耐用年数に12を乗じて、これをその事業年度の月数で除して得た耐用年数に対応する耐用年数省令の別表に定める償却率とすることとされています(耐規42)。
 事業年度が1年に満たない場合の新しい定額法の償却率又は定率法の償却率は、その減価償却資産の耐用年数に対応する耐用年数省令の別表に定める償却率にその事業年度の月数を乗じて、これを12で除したものとされています(耐規52)。これは、旧定率法と定率法の償却率の算出方法の相違から改正されたものです。
     
 2 適用関係
  (1)   上記1((4)2、(5)及び(6)を除きます。)の改正は、法人が平成19年4月1日以後に取得をする減価償却資産について適用することとされています(改正法令附則111、改正耐規附則2)。なお、法人が平成19年3月31日以前に取得をし、かつ、平成19年4月1日以後に事業の用に供した減価償却資産については、その事業の用に供した日において、その減価償却資産を取得したものとみなして、新しい減価償却制度の規定を適用することとされています(改正令附則112、改正耐規附則3)。
   
  (2) 上記1(4)2及び(5)の改正は、法人の平成19年4月1日以後に開始する事業年度について適用し、法人の同日前に開始した事業年度については、なお従前の例によることとされています(改正法令附則2、改正耐規附則4)。

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