【第4版】国際課税の実務と理論

【第4版】国際課税の実務と理論 page 25/34

電子ブックを開く

このページは 【第4版】国際課税の実務と理論 の電子ブックに掲載されている25ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
【第4版】国際課税の実務と理論

1居住者・非居住者に対する所得課税の概要27(1)居住者居住者とは、国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人をいう(所法2 1三)。国内において継続して1年以上居住することを通常必要とする職業である場合には、日本に入国した日から国内に住所を有するものと推定され居住者として取り扱われるなど、国内又は国外に居住することとなった個人に関する住所についての推定規定が定められている(所法3 2、所令14、15、所通3―3)。なお、国家公務員又は地方公務員については、外国に居住していても、所得税法上は日本に住所があるものとみなされる(所法3 1)。「住所」とは民法22条に定める住所2の借用概念1であり各人の生活の本拠をいう。最高裁第二小法廷昭和63年7月15日判決(昭和61年(行ツ)第176号)は、輸出業を営む内国法人の代表取締役が頻繁に日本と外国との間を行き来している場合に、生活の本拠が日本国内にあると認定して居住者に該当すると判示した。住所の判定の基準としては「租税法が多数人を相手方として課税を行う関係上、客観的な表象に着目して画一的に規律せざるを得ないところからして、一般的には、住居、職業、生計を一にする配偶者その他の親族の居所、資産の所在等の客観的事実に基づき、総合的に判断するのが相当である。これに対し、主観的な居住意思は、通常は、客観的な居住の事実に具体化されているであろうから、住所の判定に無関係であるとはいえないが、このような居住意思は必ずしも常に存在するものではなく、外部から認識し難い場合が多いため、補充的な考慮要素にとどまる」と解される(ユニマット事件東京地裁平成19年9月14日判決(平成18年(行ウ)第205号、東京高裁平成20年2月28日判決(平成19年(行コ)第342号)控訴棄却)。贈与税の課税要件としての「住所」の認定に関する武富士事件に係る東京高裁平成20年1月21金子宏『租税法』(弘文堂、19版、2014年)114頁。