【第4版】国際課税の実務と理論

【第4版】国際課税の実務と理論 page 29/34

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【第4版】国際課税の実務と理論

1居住者・非居住者に対する所得課税の概要314 28参照)。課税免除も含めた外交官等外国使節団職員に対して与えられている種々の特権は、本来的に派遣国に付与されたものであり当該職員に対して個人的に与えられたものではないことに留意する必要がある。かつては、国家免除原則に由来するいわゆる主権免税(国家は、自国の課税管轄内で他国が取得した所得について課税しない)がいわれていたが、今日では、国際法上、国家活動が商業的な活動の性質を有する「業務管理的行為」である場合は、絶対免除主義によるのではなく制限免除主義の適用を受け、課税が免除される事項と課税される事項とがあると一般的に理解されている。しかしながら、国家が、他国の典型的な統治権の発動である正常な外交活動について、自国の統治権を及ぼすことはできないことは国際法の原則であるから、日本に所在する大使館を経由して他国自身に対して源泉徴収義務を課すことはできない(東京地裁平成16年2月12日判決(平成13年(行ウ)第313号、318号ないし322号))27。2.居住者・非居住者の納税義務非永住者以外の居住者は、国内源泉所得及び国内源泉所得以外の所得(国外源泉所得)を含むすべての所得(全世界所得)について納税義務を負26租税法上の出国とは、納税申告書の提出その他納税者が国税に関する法律の規定により処理すべきものとされている事務があるときに納税管理人の選出を届出しないで国内に住所及び居所を有しないこととなることをいう(所法2 1四十二、通法117)。★平成26年(2014年)度税制改正の帰属主義への見直しに関連して、非居住者に係る「出国」とは、1納税管理人の届出をしないで国内に居所を有しないこととなること、2国内に居所を有しない非居住者で恒久的施設を有するものについては恒久的施設を有しないこととなること、3国内に居所を有しない非居住者で恒久的施設を有しないものについては国内において行う人的役務の提供事業を廃止すること、をいうとされた(改正所法2 1四十二)。27国家主権と課税免除に関する包括的な論考として、小寺彰「大使館に対する課税免除―日本に所在する大使館に対して源泉徴収義務を課すことができるか―」国際社会科学54号(2004年)13頁参照。