【第4版】国際課税の実務と理論

【第4版】国際課税の実務と理論 page 31/34

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【第4版】国際課税の実務と理論

1居住者・非居住者に対する所得課税の概要33納税義務者に係る国籍条項の追加経済のグローバル化・ボーダレス化等に伴い、国境を越えた「人」「物」「金」の移動が活発化している今日、国家の課税管轄権の基礎となる国と「人」とのつながりを領域内における住所の有無・程度や財産の所在の有無に求める伝統的な課税制度は、制度の公平確保の観点から見直しが必要となっている。1.非永住者制度における国籍条項平成18年(2006年)度税制改正において、改正前の非永住者制度の適用要件であった永住の意思及び居住期間に関する5年以下のテストに起因する制度の濫用に対処するために、1日本国籍を有しておらず、かつ、2過去10年以内において国内に住所又は居所を有していた期間(居住期間)の合計が5年以下の個人を、非永住者とした。注改正前の非永住者制度では、次のような問題が生じていた。1外資系企業に就職した者(日本国籍)が、国外で数年間勤務した後、日本企業に転職し、日本の自宅から通勤している場合でも、永住の意思がないとして非永住者としての制度の適用を受ける。2外資系金融機関の日本支店に勤める者が非永住者として申告していたが、在日期間が5年を超える前にいったん本国に帰国し、翌年再度来日して新たに非永住者制度の適用を受ける。2.相続税・贈与税における国籍条項平成12年(2000年)度税制改正前の相続税・贈与税は、相続人又は受贈者が相続等により財産を取得した時点でその相続人又は受贈者が日本国内に住所を有する場合にのみ国外財産を課税対象とし、一方で、財産を取得した時点で日本国内に住所を有していない場合には取得した財産のうち国内財産のみを課税対象としていた(前掲の武富士事件を参照)。平成12年度税制改正により次のとおり国籍条項が追加され無制限納税義務者の範囲が拡充されたが、日本国内に住所を有しない子や孫に外国籍を取得させるこ