相続税修正申告と更正の請求の実務

相続税修正申告と更正の請求の実務 page 1/22

電子ブックを開く

このページは 相続税修正申告と更正の請求の実務 の電子ブックに掲載されている1ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
相続税修正申告と更正の請求の実務

まえがきまえがき平成25年度税制改正において、「相続税に基礎控除・税率構造の見直し」がなされ、これら増税改正事項は、平成27年1月1日以後に、相続又は遺贈により取得する財産に係る相続税について適用されます。増税改正の背景として、「相続税の課税割合」が近年減少傾向にあり、年間被相続人数に対する課税件数は昭和63年の7.9%を最高に、その後の土地価額の下落に並行して減少し、平成13年以後は4%台に低迷したことがあります。基幹税目の一つである相続税の課税割合について様々な議論のあるところですが、4%を割り込む直前までに低下したことが見直しの要因になります。地価公示価格指数の推移と相続税の改正の変遷を見てもわかるように、日本経済が成長するとともに地価も上昇し、相続税の基礎控除の引上げが行われてきました。バブル期の地価上昇に相続税の基礎控除の引上げ、税率構造の累次の緩和等により、相続税が課される相続は被相続人100名に対して4名程度にまで低下するなど、その再配分機能の低下が認められます。他方「高齢者が保有する資産をより消費性向の高い若年世代に移転することで需要を喚起し、経済活性化を図る」との観点からは、贈与税についても見直しを行われることが求められています(平成24年度税制改正大綱)。これを受けて平成25年度税制改正で、基礎控除と税率構造の見直しが図られました。平成25年度税制改正において、相続税の基礎控除が、改正前の「5,000万円+1,000万円×相続人数」から、「3,000万円+600万円×相続人数」に見直された結果、改正前の6割水準に引き下げられ、加えて、相続税の税率構造が見直され課税価格が2億円を超える階級の税率が引上げられ、また課税価格が6億円を超える場合の最高税率が55%まで引き上げられました。これらの改正事項は平成27年1月1日以後の相続又は遺贈により取得する財産に係る相続税について適用されます。改正前の制度では、例えば相続人が子供2人の場合、7,000万円以上の課税遺産がなければ相続税は課税されませんでした。しかし、改正後の基礎控除は40%縮小され、4,200万円(3,000万円+600万円×2人)引き下げられたため、相続税の課税対象割合は改正前の4.2%から6%程度になると試算されています。具体的な標準家族の数値としては、法定相続人3人の基礎控除(非課税枠)が改正前8,000万円から4,800万円に引き下げられ、申告納税者数も増加することが予測されます。1