五訂増補版 事例検討/謝りやすい消費税の実務

五訂増補版 事例検討/謝りやすい消費税の実務 page 34/36

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五訂増補版 事例検討/謝りやすい消費税の実務

20したことになります。このように、代物弁済と現物給与とは、明確に区別されるべきものですが、本事例も、退職慰労金は株主総会等で決議されたものを給付したもので、退職した役員に対して既に発生していた金銭債務の弁済に代えてゴルフ会員権を譲渡したものとはいえませんので、ゴルフ会員権の現物支給は、代物弁済ではなく現物給与に該当することになります。ところで、法人が役員に資産を贈与した場合は、事業として対価を得て行われた資産の譲渡等とみなされますが、このみなし譲渡とされるのは、法人税法上、過大役員報酬又は認定賞与とされる場合に、改正前法人税法に規定されている「報酬の定義」(旧法法343)及び「賞与の定義」(旧法法354)に含まれる経済的な利益の供与に例示されている資産の贈与(旧法基通9-2-10(1))を予定していますので、本事例の役員退職給与として現物支給されたゴルフ会員権の贈与は、このみなし譲渡には該当しないことになります。(注)平成18年度の法人税法改正で役員給与等の取扱いが大幅に変わりましたが、消費税のみなし譲渡に該当しないという考え方は変わらないと思われます。ちなみに、「国税庁の検索システム」(1-176)では、同様の問いに対して次のように回答しています。消費税法第4条第4項第2号の規定は、法人が資産をその役員に対して贈与した場合のその贈与を資産の譲渡とみなして課税の対象とするものであるが、同号が適用されるのは、旧法基通9-2-10(1)(旧は筆者が追加しています。)に該当する場合で、法人税法上、過大役員報酬又は認定賞与とされるものであり、これに該当しない役員報酬及び賞与並びに退職給与に該当するものは、同号の規定の適用されないことになる。したがって、本件におけるゴルフ会員権の引渡しが、退任した役員に対する退職給与として行うものであることが明らかな場合(退職役員の過去