税務サンプル|七訂版 遺産分割の手続と相続税実務

税務サンプル|七訂版 遺産分割の手続と相続税実務 page 3/44

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税務サンプル|七訂版 遺産分割の手続と相続税実務

はじめに(初版)相続──この法律用語の意義を簡記すれば、「被相続人からの相続人に対する財産の承継」といえるでしょう。この意味は、専門家でなくても十分に理解できることであり、この限りでいえば、「相続」という言葉そのものは、それほど難しい概念ではありません。しかしながら、「相続の実務」はどうでしょうか。多少なりとも相続の現場を体験した方なら、その実務はきわめて煩瑣で、多種多様な手続きとそれを的確に行うための専門的な知識が必要であることがお分かりでしょう。たとえば、「遺産分割」です。被相続人の財産を共同相続人間で具体的に配分することが遺産分割である、ということはどなたもご存じのとおりですが、これに関する実務は、被相続人と相続人の戸籍謄本等の収集、それを基にした相続人と相続分の確定、被相続人の遺産の調査・評価と分割対象財産の確定を経て、分割協議の実行と協議書の作成、相続財産の名義変更に至るまで、多くの手続きを要します。また、遺産分割に関連する事項として、被相続人に遺言がある場合の処理のほか、相続放棄や限定承認相続の手続きを要することもあり、遺留分やその減殺方法の知識も実務には不可欠です。さらに、相続人が未成年者や国外居住者というケースもありますし、特殊な例では、相続人が行方不明であったり、相続権者がいないという相続もあります。これらの場合にも一定の手続きを経ないと遺産分割等を行うことはできません。遺産分割という一つのテーマをみてもこのように広範な実務処理とそれを的確に実行するための知識を要するのですが、相続に関するいま一つの重要なテーマである税務も同様です。財産の評価から申告と納付に至る相続税について、さまざまな税務を要することはいうまでもありませんが、実際には、相続税以外にも数々の税務が関連します。被相続人の所得の清算手続きとしての所得税の準確定申告はよく知られているところですが、被相続人が消費税の課税事業者であれば、これと同様の清算手続きが必要です。また、相続では、被相続人が事業者であった場合、相続開始によって事業を廃止するケースと相続人が被相続人の事業を承継するケースに分かれます。それぞれのケースに応じた税務手続きとともに、税法の扱いについて、両者の異同点を十分に承知しておかなければなり