税務サンプル|七訂版 遺産分割の手続と相続税実務

税務サンプル|七訂版 遺産分割の手続と相続税実務 page 43/44

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概要:
税務サンプル|七訂版 遺産分割の手続と相続税実務

額軽減規定や小規模宅地等の特例のいずれも適用できないこととされています。このため、遺言において遺産分割の禁止事項があると、未分割での申告となり、納税上の不利が生じるおそれがあります。少なくとも遺言における遺産分割の禁止は、税務的にみて有利に作用することはありません。(注)遺言と異なる遺産分割を行うことも可能ですが、この点は後述(97ページ)します。?遺言(遺贈)と登録免許税ところで、相続財産の取得者を特定させる遺言では、その文言について、「○○に相続させる」という言い方と「○○に遺贈する」という表現の2通りが考えられます。注意を要するのは、「相続」と「遺贈」では、不動産の所有権移転登記の際の登録免許税に大きな差異があることです。不動産の移転登記における登録免許税の額は、次の算式により求められます。1Ⅲ遺言書がある場合の対応と手続き不動産の価額(固定資産税評価額)×〔税率〕=登録免許税の額この場合の税率は、「相続」を原因とする移転登記は「1,000分の4」ですが、「遺贈」を原因とする登記は「1,000分の20」となります(登免法別表第一の一(二))。したがって、登記原因がいずれになるかで登録免許税に違いが生じます。もっとも、現行の登録免許税法は、「相続」には「相続人に対する遺贈を含む」こととしています(登免法171)。要するに、相続人に対する不動産の遺贈について、遺言書において「遺贈する」とされているため、登記原因が遺贈であっても相続による所有権移転と同様の登録免許税額になるということです。したがって、遺言書の書き方として「相続させる」と「遺贈する」の間に登録免許税の面での有利不利はありません。なお、相続人以外の者に「相続させる」ことはできませんから、この場合は、遺贈を原因とした所有権移転になるのは当然で、登録免許税は「遺贈」の税率が適用されます。(注)不動産の相続登記の手続きについては、後述(687ページ)します。15