〈改訂〉贈与税の実務とその活用のポイント

〈改訂〉贈与税の実務とその活用のポイント page 19/26

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〈改訂〉贈与税の実務とその活用のポイント

5贈与が認められないケース95贈与が認められないケース前述したように、贈与とは贈与者の意思表示と受贈者の受諾があって初めてその効力が生じるものです。したがって、どちらか一方がその事実を知らない場合には贈与は成立しません。よく見受けられるケースが、親(祖父母)が子(孫)の名義の預金口座に毎年送金しているような場合です。受け取る側の子(孫)がその事実を知っているか否かで異なる結果となります(受け取る側の子や孫が未成年の場合には、それらの親権者がその事実を認識しているか否かで判断することとなります。)。つまり、子(孫)が受け取っていることを認識していればその贈与は成立していますが、子(孫)が知らない場合には贈与は成立していないこととなります。後者の場合は、親(祖父母)が子(孫)の名前を勝手に使って自分の預金を移動しただけということです。たとえ、子(孫)の名前で贈与税の申告納税をしていたとしても、それは単に誤った申告をしたということであり、贈与税の申告をしているから贈与が認められたと考えるのは危険といえるでしょう。贈与税の申告事実と課税要件事実との関係について、国税不服審判所の裁決において次のように示されています。「贈与税の申告は、贈与税額を具体的に確定させる効力は有するものの、それをもって必ずしも申告の前提となる課税要件の充足(贈与事実の存否)までも明らかにするものではないと解するのが相当である。そうすると、贈与事実の存否の判断に当たって、贈与税の申告及び納税の事実は贈与事実を認定する上での一つの証拠とは認められるものの、贈与事実の存否は、あくまでも具体的な事実関係を総合勘案して判断すべ