ブックタイトル国外転出時課税制度・財産債務調書制度の実務Q&A

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概要

国外転出時課税制度・財産債務調書制度の実務Q&A

iはじめに 我が国の所得税制が採用している包括的所得概念の下では未実現のキャピタルゲインも所得を構成すべき経済的利益と考えられるところですが、実際の納税資金確保の問題や執行可能性を踏まえ、個人から法人に対して資産の贈与が行われた場合や、相続のうち限定承認が行われた場合などに限ってその課税が行われてきました。また、これらのいずれのケースも、資産の移転が行われた場合にその移転の時を捉えて未実現のキャピタルゲインに課税するというものでしたが、平成27年度の税制改正で創設された国外転出時課税制度は、資産の移転という時点ではなく、その所有者の国外転出(出国)という事実を捉えて未実現のキャピタルゲインに課税するという点で、これまでと異なるものとなっています。 しかしながら、新旧いずれの制度も未実現のキャピタルゲインに対する課税が無制限に繰り延べられることを防止しようとする点においてはその軌を一にするものであり、本来課税されるべきであったキャピタルゲインに対する課税を適正化するという点においてはその趣旨は共通するものがあると考えられます。 国外転出時課税制度では、未実現のキャピタルゲインに対して課税することにより生じ得る問題点の1つである納税資金の確保について、所得税制において初めて納税猶予制度を導入することにより解決を図っており、さらに、国外転出後に実際に有価証券等の譲渡をした場合に国外転出時に比してキャピタルゲインが減少していた場合等に対する課税の減免措置も設けられています。