ブックタイトル国外転出時課税制度・財産債務調書制度の実務Q&A

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概要

国外転出時課税制度・財産債務調書制度の実務Q&A

第1章 国外転出等の場合の課税制度3の未実現の所得(含み益)を国外転出前の居住地国で課税するようになってきています。 平成26年9月に公表されたBEPS(税源侵食と利益移転)プロジェクトの行動計画第1弾報告書(以下「BEPS報告書」といいます。)においても、行動6「租税条約の濫用防止」の中で、国外転出時における未実現のキャピタルゲインに対する課税が、租税回避防止措置として位置づけられています。 そこで、わが国においても、主要国と足並みを揃え、一定の国外転出者に対して、国外転出直前に有価証券等を譲渡してこれを同時に買い戻したものとみなして、その未実現のキャピタルゲインに課税する譲渡所得等の課税の特例を創設することとされました。Ⅱ 制度導入までの経緯1.政府税制調査会における議論 国外転出をする者に対して未実現のキャピタルゲインに課税することにより租税回避を防止する措置の必要性に関する議論は、平成26年10月21日の政府税制調査会基礎問題小委員会において取り上げられました。 この基礎問題小委員会では、BEPS報告書に関連する検討課題として、「電子経済の課税上の課題への対処」、「ハイブリッド・ミスマッチの効果の無効化」及び「租税条約の濫用防止」という3つの課題が紹介されています(図1参照)。このうち、行動6の「租税条約の濫用防止」においては、様々な条約の濫用防止に関する考え方が盛り込まれている中で、諸外国において講じられている措置として、国外転出時において未実現のキャピタルゲインに対する譲渡所得課税の特例を設けて、租税回避の防止措置を行っていることが紹介されています。これは、現在の租