ブックタイトル国外転出時課税制度・財産債務調書制度の実務Q&A

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概要

国外転出時課税制度・財産債務調書制度の実務Q&A

第1章 国外転出等の場合の課税制度7置としての国外転出時課税の導入の検討が進められました(図3参照)。3.諸外国の課税方式 アメリカでは、2008年に国外転出時の未実現キャピタルゲインに対して課税する仕組みが導入されています。アメリカの所得税は市民権課税を基本としており、全世界どこに居住していても、アメリカの市民権を持っている限り発生した所得に対して課税をするという仕組みになっているため、アメリカ国籍を離脱する際に、未実現のキャピタルゲインに対する課税が行われる仕組みになっています。 ドイツ、フランス、カナダについては、自国から国外転出して非居住者になるときに未実現のキャピタルゲインに課税をする仕組みになっています。 イギリスについては、一時的に非居住者になって、国外転出をしてから5年以内に帰国をした際に、国外転出していた期間中に実現したキャピタルゲインに対して課税をするという仕組みになっており、他の国々とは若干違う仕組みが採られています。 世界的に見ると、基本的にはドイツ、フランス、カナダのような仕組みが主流であると考えられ、我が国において国外転出時課税の導入を検討する際には、これらの国と類似した制度の導入が検討されてきたものと考えられます(図4参照)。4.課税対象者の要件 また、各国の国外転出時課税制度においては、対象となる国外転出者について、資産要件を定めています。アメリカの場合には純資産額で200万ドル以上であり、フランスの場合には80万ユーロ超となっているなど、かなりの規模の資産を保有している国外転出者を対象としており、