ブックタイトル国外転出時課税制度・財産債務調書制度の実務Q&A

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概要

国外転出時課税制度・財産債務調書制度の実務Q&A

10えて、その時における価額により譲渡があったものとして譲渡所得等の金額を計算するものです。 このような未実現のキャピタルゲインに対する課税について、金子宏先生は、「わが国の戦後制度は、包括的所得概念を採用しているが、その場合に、実現が所得概念の要素とされているかどうかは、明文上は明らかでない。いうまでもなく、日本国憲法には、アメリカ修正法16条に相当する規定はないから、所得概念をどのように構成するかは、立法政策上の問題である。…わが国の制度は、実現を所得概念の要素とは考えていない、と解される。もちろん、未実現の利益の把屋と評価が著しき困難であって、納税者と税務行政の双方に過重な負担を強いることや、未実現の利益に一般的に課税することにすると、その範囲が明確を欠き、納税者の地立を不安定にするおそれがあること、等を考えると、制度の問題としては、従来どおり、原則として実現した利得のみに課税するのが適当であろう。しかし、未実現の利得も所得を構成すると解することによって、所得税制度は、その本来の目的や機能によりよく適合しうるのみでなく、その時々の社会的・経済的必要により柔軟に対応することができる。(金子宏「所得概念の研究」(有斐閣、1995年))」とし、立法政策上の問題の1つであるとしています。6.平成27年度税制改正大綱 このような考え方に基づき、平成27年度改正において「国外転出をする場合の譲渡所得等の特例」を導入することとされ、平成27年1月14日に閣議決定された「平成27年度税制改正の大綱」において、次のように盛り込まれています。