月刊[税務QA] Questionインフォメーション

■セレクションQ&A
CASE4
REIT(不動産投資法人)の合併に係る課税関係
中村慈美税理士事務所 金沢 東模
 
上場REITが非上場REITを吸収合併する場合の課税関係
 当社は、上場REIT(不動産投資法人)であるA社(年1回3月決算)のスポンサー会社です。具体的には、A社の資産運用会社に100%出資する形を取っています。
 A社の資産規模は1,000億円と、上場REITの中では小規模となっています。そこで、資産規模の拡大によって、投資家層の拡大及び投資口の流動性を高めるために、X社(年1回3月決算)を吸収合併することとしました。
  X社は、資金繰りに行き詰まり民事再生手続の申立てを行うこととなった非上場REITです。しかし、本業である不動産投資事業は、賃貸物件の稼働率90%超を維持しており、賃貸NOI利回り(※)も4.5%程度を維持しているため、NAV(時価純資産価額)を下回る割安な水準での吸収合併には妙味があると考えています。
※ 賃貸NOI利回り=(賃貸事業収益−賃貸事業費用+減価償却費±固定資産売却損益)/物件取得価格合計X
  
 X社の再生支援に係るスポンサーの入札を経て、当社及びA社による再生支援の内容が選定されました。当社、A社及びX社は、再生支援の内容として、「当社を割当先としてX社が第三者割当増資を行うこと」、並びに「A社がX社を吸収合併すること」を基本的なスキームとする基本合意書を平成21年9月に締結しています。第三者割当増資及び合併は、基本合意書の再生スキームを前提とした再生計画案が可決・認可されることを前提条件としています。
 合併までのスケジュールは、平成21年10月にX社の再生手続開始の決定、平成21年12月末に再生手続認可の決定、平成22年1月末に第三者割当増資、平成22年4月1日を合併期日とする予定です。
  また、合併後にA社において減損損失が発生するリスクを避けるために、X社において資産の価額につき再生計画認可の決定のあった時の価額により評定を行い、評価損益を計上します。
  そこで、想定外の課税義務が発生するリスクを避けるため、本件一連のスキームにおける各当事者の課税関係についてご教示ください。  
〔第三者割当増資の内容〕
実施者
X社
引受者
当社
募集投資口数
120千口
発行価格
1口当たり50,000円
払込金額総額
60億円
※当社が引き受ける投資口に割り当てられるA社投資口については、合併効力発生日後1年間のロックアップ期間(売却することができない期間)が設定されています。

〔被合併法人X社の平成21年3月期財務内容〕
B/S
資産

現金等     50億円
不動産   1,850億円
(鑑定評価額 1,450億円)
負 債

       1,000億円
資本金等の額

出資総額   900億円
(発行済投資口数180千口
P/L
営業収益
110億円
 (うち賃貸事業収益)
110億円
営業費用
60億円
 (うち賃貸事業費用)
45億円
営業利益
50億円
経常利益
40億円
税引前当期純利益金額
40億円
※1 X社の投資主は、内国法人及び居住者である個人のみであるのと仮定し、その総数は50人以上であるものとします。
※2 B/SとP/Lの数値に会計上と税務上で差異はないものとします。
※3 再生計画認可の決定の時における不動産鑑定評価額は、平成21年3月期における不動産鑑定評価額と同額であるものとします。
※4 X社は設立から平成21年3月期まで欠損金額は生じていないものとします。

〔合併の内容〕
合併対価 合併による投資口の割当比率は、X社の投資口1口につき、A社の投資口0.25口(1口当たりの投資口価格400,000円)を割当交付し、合併対価としてA社投資口以外の資産の交付はしません。合併により発行するA社投資口の総数は75千口の予定です。
ロックアップ X社の第三者割当増資を当社が引き受け、X社に60億円を拠出し、ロックアップ期間後に割り当てられたA社投資口を順次売却していく予定です。
資本関係 X社とA社との間に直接の資本関係はありませんが、当社はA社投資口を5%保有しており、第三者割当増資により、当社がX社の投資口を40%保有することとなります。合併後は、当社がA社投資口の20%を保有することとなります。
引継事業 買収によりX社から引き継いだ不動産については、A社の既存の不動産と一体的に活用して、事業の効率化を図り、不動産投資事業を継続します。
役員 X社の執行役員のいずれかとA社の執行役員のいずれかとが合併後においてA社の執行役員となる予定です。

「月刊 税務QA」2月号 29ページ


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