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【特設】『ウェブ版 資産税通信』(配信・運営:税務研究会)

今月の資産税事例

譲渡資産の引渡し前に相続が発生した場合 (09.8/3更新)
Q  甲は平成20年7月に自宅の敷地と建物を6,000万円で譲渡する売買契約を締結し、同日に手付金500万円を受け取りました。引渡予定日は、平成21年1月でしたが、その前の20年10月に甲が死亡したため、相続人である子が21年1月に甲の締結した契約に従って、敷地と建物を引き渡し、残代金5,500万円を受け取りました。相続開始時には引渡が完了していませんでしたので、甲の相続税の申告に際して、自宅敷地について小規模宅地の特例を適用し、手付金の500万円は債務控除の対象とすることが認められるでしょうか。

A

 売買契約が締結された土地の売主が死亡し相続の開始があった場合には、相続財産の価額は、売買契約にかかる残代金請求権とされています。つまり、相続財産は、土地ではなく、売買代金の残額を受け取る権利であるということです。
 したがって、甲さんの相続財産に含まれるのは、自宅の敷地と建物ではなく、5,500万円の残代金請求権(未収金)ということになりますから、小規模宅地の減額特例は適用されません。手付金500万円についても債務控除の対象とすることはできません。
  なお、所得税では、土地建物の譲渡日は、契約日あるいは引渡日のいずれによるかを納税者が選択できますので、契約日である平成20年7月に譲渡があったとして、甲さんの譲渡所得として申告し、居住用財産の譲渡の場合の3,000万円控除を適用することが可能です。甲さんの準確定申告によって納付する税額は、甲さんの相続税の計算上、債務控除の対象となります。
 
                         (税理士懇話会・資産税研究会事例より)


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