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【特設】『ウェブ版 資産税通信』(配信・運営:税務研究会)

今月の資産税事例

年金受給権の相続 (09.9/1更新)
Q  甲は現在70歳ですが、自己を受取人とする一時払い年金保険に加入しました。保険料は6,000万円で、年金の受取期間は50年となっています。甲に相続が発生した場合には、相続人が年金を受け取る権利を相続によって取得することになります。仮に甲が年金の受給開始から10年後に死亡した場合で、相続人が受け取ることとなる年金の総額が5,000万円だったとすれば、相続税における年金受給権の評価額は2割相当額の1,000万円となりますが、それでよろしいのでしょうか。また、年金受給権を取得した相続人が解約して一時金を受け取った場合には、租税回避行為等に該当するでしょうか。

A

 相続によって年金受給権等の定期金に関する権利を取得した場合には、相続税法24条の定期金の権利の評価によってその価額を評価することになっています。そして、相続開始時においてすでにその受給が開始しており、定期金の残存期間が35年を超える場合には、受け取ることとなる定期金の総額に100分の20を乗じた額が評価額とされる旨が規定されています。
 したがって、ご質問の場合には、甲が受給開始から10年経過後に死亡したとすれば、残存期間は35年を超えていますから、相続人が受け取ることとなる年金総額の20%相当額が評価額になり、相続税の課税価格に算入される金額は、ご指摘どおり1,000万円となります
  年金受給権を取得した相続人がそれを解約した場合ですが、解約という行為は、相続によって年金の受給権者となった人が自由になすことのできる権利であり、それをもって定期金の権利の評価に影響を与えるものではありません。定期金の権利に関する評価は、相続税法において法定されているものであり、この規定に則って適正に相続税の申告が行われている限り、たとえそれが結果的に租税負担を減少させることになったとしても、税務当局がそれを否認することはできないと考えます。
  なお、相続人がその生命保険契約を解約したことによって受け取る解約一時金は、一時所得の収入金額に該当し、その一時金に対応する払込保険料を控除した額が一時所得の金額になります。
 
                         (税理士懇話会・資産税研究会事例より)


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