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【特設】『ウェブ版 資産税通信』(配信・運営:税務研究会)

今月の資産税事例

共有持分権を譲渡する場合の譲渡所得の計算 (10.1/6更新)
Q  甲は、200uの土地の共有持分2分の1を平成10年に祖父から贈与されました。残りの2分の1の共有持分は、甲の父が所有していましたが、平成20年に甲が買い取り、現在は、200uのすべてが甲の所有となっています。この度、甲は、この土地に甲の兄と資金を出し合って賃貸用のアパートを建築することになりましたが、甲に手持ち資金がないため、兄にこの土地の共有持分の2分の1を買い取ってもらって建築資金に充てようと考えています。
 この場合に、甲が譲渡する共有持分の2分の1は、平成10年に祖父から贈与された持分として長期譲渡所得にしたいのですが、譲渡契約書はどのように作成すればいいでしょうか。

A

 土地を共有で所有している場合の「共有にかかる所有権」は、その共有の目的となっている土地の全体に及んでいます。したがって、ご質問の甲さんが所有している200uの土地は、どの部分をとっても、平成10年に祖父から贈与された共有持分権と、平成20年に父から買い取った共有持分権が混在していることになります。
 このことから、甲さんが兄に譲渡する土地の2分の1の持分権にも、祖父から贈与された持分権と父から買い取った持分権が混在していることになります。このことは、持分権の譲渡ではなく、その土地の2分の1を分筆して譲渡する場合も同様です。
  したがって、兄に買い取ってもらう持分権を平成10年の贈与で取得した持分権に特定して、その部分のみを譲渡するということはできないものと考えます。
  このため、甲さんが兄にこの土地の持分権の2分の1を譲渡した場合には、譲渡収入金額のうち、2分の1は長期譲渡所得の収入金額となり、残りは短期譲渡所得の収入金額となり、取得費、譲渡費用についてもそれぞれごとに計算することとなります。
  売買契約書の書式については税務上の問題ではないため、回答は差し控えさせていただきますが、契約書の文面によって税務上の取扱いが変わることはないものと考えます。
   
                         (税理士懇話会・資産税研究会事例より)


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