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【特設】『ウェブ版 資産税通信』(配信・運営:税務研究会)

今月の資産税事例

離婚に伴う財産の移転における課税関係 (10.2/1更新)
Q  夫Aと妻Bは結婚してから30年以上になりますが、Aが離婚を望んでいます。BはA所有のマンションと現金1000万円の贈与を条件として離婚を受け入れる意向です。このマンションには、現在Bのみが居住しており、Aとは別居しております。離婚前にAがBにこのマンションを贈与した場合、贈与税の配偶者控除の適用は可能でしょうか。また、Aはこのマンションに住民登録をしておりますが、Aの譲渡所得については、居住用財産の3000万円控除の適用は受けられますか。

A

 婚姻期間が20年以上の配偶者に居住用財産または居住用財産を取得するための現金を贈与した場合には、贈与税の配偶者控除の適用がありますが、ご質問のケースは、離婚に伴う財産分与として居住用のマンションを贈与するということのように見受けられます。
 マンションの贈与が、たとえ「贈与」の形式をとっていても、実態的には、離婚を停止条件とする財産の移転に当たる場合には、その所有権の移転の登記原因が「贈与」であったとしても、その財産の移転は離婚に伴う財産分与として課税関係が整理されるものと考えます。
  マンションの贈与が離婚に伴う財産分与に当たるかどうかは、事実認定の問題ですが、お問い合わせの内容からするかぎり、たとえ、形式的には贈与税の配偶者控除の適用要件を満たしていたとしても、その実態から、離婚に伴う財産分与と認定される可能性が極めて高いといわざるを得ません。
  所得税基本通達33−4の2では、民法の規定による財産の分与があった場合には、分与をした者は分与時の価額でその財産を譲渡したものと扱われることとなっておりますので、ご質問のケースでは、Aが贈与時の価額でそのマンションを譲渡したものとして、Aに譲渡所得課税が行われることとなります。
  次に、Aに譲渡所得課税が行われる場合の居住用財産の譲渡の場合の3000万円控除の適用ですが、「居住用財産」とは、譲渡する者の生活の本拠として現に利用している土地建物をいうものとされております。したがって、単に住民登録をしているからといって、それだけでその財産が居住用財産に該当するということはできません。
 ご質問のマンションが居住用財産に該当するかどうかも事実認定の問題であり、断定はできませんが、文面からするかぎり、Aの居住用財産とするには無理があると考えます。
 
                         (税理士懇話会・資産税研究会事例より)


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