トップへ

【特設】『ウェブ版 資産税通信』(配信・運営:税務研究会)

今月の資産税事例

小規模宅地等の課税の特例の適用について (18.1/5更新)
Q

 夫(被相続人)が行方不明になってから7年が経過し、失踪宣告の審判が下りました。
 夫は元妻と30年前に離婚しており、長女がおりますが、元妻と長女は離婚後、親交はありません。
 夫の相続財産は、自宅と現預金のみです。
 そこでお尋ねしたいのですが、夫の自宅について、小規模宅地等の課税の特例は適用できるでしょうか。
 長女は結婚しておりますが、長女も、また長女の夫も、これまで持ち家を持ったことはありません。また、夫の失踪後、夫の自宅はそのままの状態で保たれており、空き家の状態となっています。


A  ご質問の場合、被相続人である夫の居住の用に供されていた宅地等、すなわち、生活の拠点を何処と見るのかが問題となります。
 特別失踪(危難失踪、民法30A)であれば、危難時の住所になると考えられますが、ご質問にある普通失踪(民法30@)は、「不在者の生死が7年間あきらかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人に請求により、失踪の宣告をすることができる。」とされています。よって、普通失踪の場合、原則的には、失踪者の生活の本拠を失踪時の住所とみることはできないと考えます。
 しかしながら、普通失踪には認知症や何らかの事件に巻き込まれて行方が分からなくなったケースもあり、そのような場合には、失踪者の住所は変更されておらず、失踪時の住所とみるのが相当と考えます。
 ご質問の場合、夫が失踪した状況等について詳細はわかりませんが、所轄の税務署に夫の失踪時の状況等を説明して、小規模宅地等の課税の特例の適用について、個別に相談されるのが良いと思われます。


               (税理士懇話会・資産税研究会事例より)

資産税研究会(税理士懇話会)のご案内へ
≪≪ トップに戻る税務研究会ホームページ