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【特設】『ウェブ版 資産税通信』(配信・運営:税務研究会)

今月の資産税事例

小規模宅地等の特例適用要件 (18.5/9更新)
Q

 相続人以外の2人に1/2ずつ遺贈するという遺言があり、期限内で相続税の申告は終わっています(平成27年10月相続)。
 当初申告は小規模宅地の特例の要件を満たしていないので適用しませんでした。  その後、相続人2人から遺留分減殺請求が届き、相続から2年半を経過し、合意ができる状況になりました(平成30年4月予定)。
 被相続人の自宅は受贈者2人が1/4ずつ、相続人2人が1/4ずつ取得し、換価したうえで代金を取得します。その他の財産も同じ割合で取得することで決定しそうです。
 相続人2人については家なき子の要件に該当するので、その2人のみ特例を適用して修正申告又は更正の請求をしようと考えていますが可能でしょうか。
 なお、その土地は遺留分の最終合意をする前の平成30年3月に1/4ずつ登記のうえ売却しました。


A  結論として、小規模宅地等の特例を適用できると考えます。
 ご照会のケースは、当初申告においてその宅地が相続人以外の者に遺贈されたことから小規模宅地等の特例の選択ができなかったものであり、その後、遺留分の減殺請求という相続固有の後発的事由に基づいて、その宅地を取得した場合ですので、その修正申告又は更正の請求において小規模宅地等の特例を適用することが可能と考えます(類似事例について国税庁ホームページの質疑応答に「遺留分減殺に伴う修正申告及び更正の請求における小規模宅地等の選択替えの可否」があります。)。
 次に、本件小規模宅地等の特例はいわゆる家なき子の場合とのことですが、いわゆる家なき子の適用要件は次のとおりとされています。
@ 被相続人に配偶者がいないこと
A 被相続人に、相続開始の直前においてその被相続人の居住の用に供されていた家屋に居住していた親族でその被相続人の相続人である者がいないこと
B 相続開始前3年以内に日本国内にあるその者又はその者の配偶者の所有する家屋(相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋を除きます。)に居住したことがないこと
C その宅地等を相続税の申告期限まで有していること
 このうち、ご照会のケースでは、既に売却済とのことですので、Cの申告期限まで保有していたかどうかが問題となります。しかし、この申告期限とは相続税法27条の申告期限、すなわち相続開始があったことを知った日から10月以内となり、また、遺留分減殺請求の効果は相続開始時に遡及しますので、問題はないと考えます。

             (税理士懇話会・資産税研究会事例より)

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