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【特設】『ウェブ版 資産税通信』(配信・運営:税務研究会)

今月の資産税事例

内縁関係の解消に伴う財産分与の取扱いについて (18.9/4更新)
Q

 「内縁関係の解消に伴う財産分与」により、居住用マンション(住宅ローンを含む)を取得する予定です。
 この「内縁関係の解消に伴う財産分与」は、相続税法基本通達9-8に基づいて、贈与税の対象とはならないでしょうか。
 なお、居住用マンションの時価が3,000万円、引き継ぐ住宅ローンが1,500万円です。


A 内縁関係及びその解消による財産分与
 内縁は、法律上の婚姻の届出をしていなくとも夫婦の実態のある男女関係をいいますので、法律に定めた婚姻の届出をしている夫婦に準じて法律上で保護される関係になります。
 裁判所では、内縁は準婚(婚姻に準じるもの)関係であるとして、内縁の解消においても法律上の婚姻解消と同様に財産分与の考え方が適用されるとしています。
    (参考)平成12年3月10日最高裁第一小法廷  民法は、法律上の夫婦の婚姻解消時における財産関係の清算及び婚姻解消後の扶養については、離婚による解消と当事者の一方の死亡による解消とを区別し、前者の場合には財産分与の方法を用意し、後者の場合には相続により財産を承継させることでこれを処理するものとしている。このことにかんがみると、内縁の夫婦について、離別による内縁解消の場合に民法の財産分与の規定を類推適用することは、準婚的法律関係の保護に適するものとしてその合理性を承認し得るとしても、死亡による内縁解消のときに、相続の開始した遺産につき財産分与の法理による遺産清算の道を開くことは、相続による財産承継の構造の中に異質の契機を持ち込むもので、法の予定しないところである。

婚姻の取消し又は離婚により財産の取得があった場合
 婚姻の取消し又は離婚による財産の分与によって取得した財産については、贈与により取得した財産とはなりません。
 ただし、分与された財産の額が婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額を上回る等の場合には、贈与により取得したものとされる場合があります(相基通9-8)。

照会事例について
 内縁解消における財産分与については、裁判例においても民法上の財産分与の規定を類推適用していますので、ご照会の事例においても、その内縁期間中に共同して築いた共有財産については、ご指摘の通達が適用されるものと考えます。

             (税理士懇話会・資産税研究会事例より)

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