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【特設】『ウェブ版 資産税通信』(配信・運営:税務研究会)

今月の資産税事例

借地権の相続について (18.12/3更新)
Q

 父甲が亡くなりました。相続人は妻乙、子丙の二人です。
 甲は自宅不動産として建物及び借地権を有しています。
 借地権は約30年前に所有者Yと甲が借地契約を結んでいます。
 この甲の建物及び借地権について遺産分割協議を行い、建物は乙、借地権は丙が相続することは可能でしょうか。これにより贈与税などの問題は生じないでしょうか。
 加えて、建物は登記しますが、借地権は通常登記しないと思いますので、この事実を税務署に届け出る必要はありますか。


A  結論として、被相続人甲の所有する建物および借地権について、妻乙が建物を、子丙が借地権を相続することは可能と考えます。また、贈与税の課税関係も生じないと考えます。

 この相続の結果、乙は、丙の有する借地権を使用貸借によって借り受け建物を有することとなりますので、権利関係が不明瞭となります。このため、「使用貸借に係る土地についての相続税及び贈与税の取扱い」(昭48.11.1付直資2-189ほか)の「2 使用貸借による借地権の転借があった場合」では、次のように定めています。
 「……借地権の目的となっている土地の上に存する建物等を取得し、その借地権者からその建物等の敷地を使用貸借により借り受けることとなった場合においては、…当該借地権の使用貸借に係る使用権の価額は、零として取り扱う。」
 この取扱いのように、乙と丙がそれぞれ建物と借地権を取得した場合は、借地権の転貸が行われたとして課税関係を整理することになりますが、その使用権の価額は零とされていますので、贈与税の課税問題は生じません。

 この取扱いに関しては、上記の定めに続いて、「この場合において、その貸借が使用貸借に該当するものであることについては、当該使用貸借に係る借受者、当該借地権者及び当該土地の所有者についてその事実を確認するものとする。」として、所定の手続きを必要としています。この所定の手続き(確認手続)は、具体的には、その使用貸借に係る借受者が、「借地権の使用貸借に関する確認書」(様式は国税庁ホームページ参照)を、速やかに、その借受者の住所地の所轄税務署に提出することにより行います。

             (税理士懇話会・資産税研究会事例より)

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