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【特設】『ウェブ版 資産税通信』(配信・運営:税務研究会)

今月の資産税事例

相続税法12条(非課税財産)について (19.1/8更新)
Q

 土地を遺贈により取得した者(公益事業を行うもの)が遺贈を受けた土地を1年後に売却し、その資金を公益事業に供する場合、その土地は非課税財産となりますか。


A  結論として、公益事業を行う者が遺贈により取得した財産(土地)を売却した場合には、たとえその売却代金を公益事業に供する場合であっても、その土地について相続税法12条の非課税の規定の適用はありません。

 相続税法12条1項3号は、「宗教、慈善、学術その他公益を目的とする事業を行う者で政令で定めるものが相続又は遺贈により取得した財産で当該公益を目的とする事業の用に供することが確実なもの」を非課税としています。
 この「当該公益を目的とする事業の用に供することが確実なもの」とは、その財産について、相続開始の時において当該公益を目的とする事業の用に供することに関する具体的計画があり、かつ、当該公益を目的とする事業の用に供される状況にあるものをいうものとする、とされています(相続税基本通達12-3)ので、ご照会のケースのように、その土地の売却が予定されているような場合には、これに当たりません。

 なお、相続税法12条2項は、その財産を取得した日から2年を経過した日において、当該財産を当該公益を目的とする事業の用に供していない場合には、非課税の適用はないとしていますが、この「当該財産を当該公益を目的とする事業の用に供していない場合」とは、財産を取得した者が当該財産を現実に当該公益を目的とする事業の用に供している場合以外の場合をいうのであるから、当初当該財産を公益を目的とする事業の用に供していても2年を経過した日現在において、その用に供しなくなった場合をも含むことに留意する、とされています(相続税基本通達12-6)。
 このように、この制度は、取得した財産そのものが公益事業の用に供されることが必要であり、更に相続開始後2年を経過した日において見直しが行われ、その日において当該財産が公益事業の用に供されていない場合には、相続税の課税対象とされることとされています。

             (税理士懇話会・資産税研究会事例より)

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