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【特設】『ウェブ版 資産税通信』(配信・運営:税務研究会)

今月の資産税事例

類似業種比準価額を計算する際の非経常的な配当金額について (19.3/4更新)
Q

 A社は、今まで概ね2割の配当をしてきました。
 前々期に社長が代わり、初めて経営目標達成記念として1割加算し、3割配当をしました。
 この1割部分は非経常的な配当金額と考えてよろしいでしょうか。

 また、こうした(周年配当)などではない配当が2期・3期と継続した場合、非経常的といえるのでしょうか。
 例えば3期継続した場合、最初の年度が非経常的と考えられても、3期も続けば非経常的といえないとすると、最初の1期目も非経常的ではないとするのでしょうか(遡って修正するということではなく、3期目を評価する場合、非経常的としないという意味です)。


A  類似業種比準価額計算上の「1株当たりの配当金額」は、直前期末以前2年間におけるその評価会社の剰余金の配当金額(特別配当、記念配当等の名称による配当金額うち、将来毎期継続することが予想できない金額を除く。)の合計額の2分の1に相当する金額を、直前期末における1株当たりの資本金等の額を50円とした場合の発行済株式数で除して計算した金額とすることとされています(評基通183(1))。

 この直前期末以前2年間の配当金額の合計金額の計算に当たり、特別配当、記念配当等の名称による配当金額うち、将来毎期継続することが予想できない金額を除くこととしているのは、通常的な配当金額を求めるために異常要素を排除するためと説明されています(国税庁評価担当者編「財産評価基本通達逐条解説」評基通183の解説)。

 ご質問の経営目標達成記念としての配当(1割加算部分)については、これが何か特別かつ長期的な経営目標を達成された記念ということであれば、将来毎期継続することが予想できない配当金額であるということができるものと考えます。

 しかし、会社では、毎年、売上目標や利益目標を策定されると思われますが、このような年度単位の目標を達成すること自体は、特異なことではなく、したがって、この年度目標の達成に応じた 配当金額は、その名目にかかわらず、その全額を会社の年度業績に応じた通常的な配当金額とみるのが相当と考えます。

 なお、次に掲げる裁決では、原処分庁は、直後期(ご質問の場合の2期)の普通配当の金額が、直前期(ご質問の場合の最初の年度)の特別配当と普通配当を合計した金額と同額であること等から、1株当たりの配当金額については、その特別配当を含めて計算すべきであると主張しましたが、審判所は、その特別配当は、会社の合併を理由とするものであり、特別配当を行ったとしても不合理であるとはいえないとして排斥しています。ご質問の参考になると思われますので、平成16年3月23日裁決全文をご確認ください。

             (税理士懇話会・資産税研究会事例より)

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