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【特設】『ウェブ版 資産税通信』(配信・運営:税務研究会)

今月の資産税事例

区分所有建物に係る特定居住用宅地等について (19.4/2更新)
Q

 被相続人甲が所有する土地の上に、甲と長男がそれぞれ区分所有し、1階には被相続人甲とその配偶者が居住し、2階には長男夫婦が居住しています。
 被相続人甲と長男は生計一です。
 なお、区分所有登記の二世帯住宅ではあるものの、住宅内部で行き来ができます。
 このような状況で土地を長男が相続しました。
 この場合、被相続人の居住用宅地として1階相当の宅地、及び生計一親族の居住用宅地として2階相当の宅地と、すべて特定居住用宅地に該当すると考えられますがいかがでしょうか。


A  平成25年度の税制改正で、二世帯住宅の取扱いの見直しが行われ、二世帯住宅であれば内部で行き来ができるか否かにかかわらず、全体として二世帯が同居しているものとして、特例の適用が可能とされました(措法69の4第3項二号イ)。

 すなわち、「一棟の建物」であれば、生計を一にしているか否かにかかわらず同居しているものとして取り扱われることとされました。

 しかしながら、一棟の建物が区分所有等に関する法律第一条の規定に該当する建物である場合は、当該被相続人の居住の用に供されていた部分とされました(措令40条の2第10項一号)。

 したがって、形式的には本件の場合、区分所有登記がされていますので、被相続人の居住の用に供している部分に限られることになります。

 そうすると、区分所有建物所有者である長男は、同居親族とは見られませんし、かつ、自己の所有する建物に居住していますので、いわゆる家なし親族に該当しないので、被相続人の居住の用に供していた部分については、特例の適用を受けることはできないことになります。

 次に、被相続人と生計を一にしていた者に該当する場合には、長男の居住の用に供している部分については、特例の適用が可能ということになりますが、そもそも区分所有の意思を持って区分所有登記がされている場合には、生計を一にしたくないから区分所有の登記をしているものと考えられますので、生計を一にしていたことを立証することが必要であると思われます。

             (税理士懇話会・資産税研究会事例より)

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