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【特設】『ウェブ版 資産税通信』(配信・運営:税務研究会)

今月の資産税事例

被相続人が土地と共に所有するアパートをサブリースし、そこに相続人と共に居住する場合の小規模宅地等の特例適用について (19.9/4更新)
Q

被相続人・・甲
相続人・・乙(甲の子であり甲と同居)
平成18年 甲所有の土地に甲がアパートを建築する。
完成と同時にアパートを不動産管理会社へサブリースする。
不動産管理会社は同族会社ではない。
甲及び乙は完成したアパートの一室に入居する。
家賃は他の入居者と同じ基準で不動産管理会社へ支払いをする。
甲は不動産管理会社より管理料を差し引かれて入金される。
平成30年 甲が死亡

質問)
 小規模宅地の適用を考えています。「特定居住用宅地等」、「貸付事業用宅地等」どちらに該当しますか。


A 1 小規模宅地等の特例の対象となる特定居住用宅地等とは、@被相続人等の居住の用に供されていた宅地等で、Aその被相続人の親族で、相続開始の直前においてその宅地等の上に存するその被相続人の居住の用に供されていた一棟の建物に居住していた者であって、相続開始時から申告期限まで引き続き当該宅地等を有し、かつその建物に居住していること、に該当する者が取得したものをいいます(措法69の4@、B二)。この被相続人等の居住の用に供されていた宅地等とは、相続の開始の直前において、被相続人等の居住の用に供されていた家屋で、被相続人の所有するものの敷地の用に供されていた宅地等をいいます(措法通達69の4-7)。

2 アパート等をサブリースする場合、一般的には自己が居住する部分は、サブリース契約の対象外としていると思いますので、本件の場合もこれと同様であれば、被相続人及びその子の居住部分については特定居住用宅地等に該当することとなると考えます。しかし、理由は分かりませんが、居住の用に供する部分も含めてサブリース契約の対象となっており、家賃の支払いも行われていることから、疑問が生じたものと考えます。  

3 本件は、サブリース契約があるとしても、@上記「1」の被相続人の要件及び取得者の要件の文理に従って判断すればいずれも満たしていますし、Aサブリースについても、自分の所有物を自分で賃料を支払って借り、更にその支払った賃料をサブリースの対価として受け取ること言うことは、実質的にみれば、貸付けの用に供しているとはいえないと考えられることから、被相続人等の居住の用に供されていた部分については、特定居住用宅地等に該当し、小規模宅地等の特例の適用があると考えます。

4 なお、被相続人の居住の用に供されていた部分以外の貸付部分については、問題なく貸付事業用宅地等に該当すると考えますので、本件は、特定居住用宅地等と併用することが可能と考えます(面積制限に注意してください)。


             (税理士懇話会・資産税研究会事例より)

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