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【特設】『ウェブ版 資産税通信』(配信・運営:税務研究会)

今月の資産税事例

株式保有特定会社の評価について (19.10/4更新)
Q

 株式評価のことでご教示ください。
 A社(3月決算法人)は規模区分ではいわゆる「大会社」で、通常であれば類似業種比凖価額方式で株価を算定いたしますが、1年ほど前から「株式保有特定会社」となり、純資産価額方式で株価を算定しております。
 今年の7月、8月と大量の有価証券を売却したことから、9月末の中間決算では「株式保有特定会社」ではなくなることが予測されます。
 もし、9月末の中間決算の数字でもって「株式保有特定会社」から外れたことがはっきりした場合で、11月にA社の株式を移動させた場合、今年3月末の決算および申告の数字を使って、類似業種比凖価額方式で株価を算定することは可能でしょうか。
 もし可能な場合、類似業種比凖価額方式に有価証券の売却にともなう追加や修正をする項目はありますか。


A  仮決算を行わないで直前期末の決算を基に判断する場合は、評価通達189(2)の株式等保有特定会社に該当することとなります。 なお、仮決算を行い、株式保有特定会社の該当しないのであれば、類似業種比準価額方式で評価することとなります。

(解説)
 評価通達189(2)において、株式保有特定会社の株式の評価は、「課税時期において評価会社の有する各資産をこの通達に定めるところにより評価した価額の合計額のうちに占める株式及び出資の価額の合計額(189−3≪株式保有特定会社の株式の評価≫において「株式等の価額の合計額(相続税評価額によって計算した金額)」という。)の割合が50%以上である評価会社(次の(3)から(6)までのいずれかに該当するものを除く。以下「株式保有特定会社」という。)の株式の価額は、189−3≪株式保有特定会社の株式の評価≫の定めによる」規定されています。
 したがいまして、株式等保有特定会社に該当するか否かは、課税時期で判断することとなりますので、11月の課税時期に仮決算を行って、株式等の保有が50%未満であれば、類似業種比準価額方式で評価することとなります。
 しかし、仮決算を行わないで直前期末の資産及び負債を基に計算を行う場合は、株式保有特定会社の判定における純資産価額等も直前期末の金額により判断することとなりますので(平成29年9月29日付課評2-48外「「相続税及び贈与税における取引相場のない株式等の評価明細書の様式及び記載方法等について」の一部改訂について」通達の「取引相場のない株式(出資)の評価明細書の記載方法等」の「第5表」の2(4)参照)、11月に株式の保有が50%未満であっても株式等保有特定会社に該当することとなります。


             (税理士懇話会・資産税研究会事例より)

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