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【特設】『ウェブ版 資産税通信』(配信・運営:税務研究会)

今月の資産税事例

死亡した祖父母名義の居住用財産の譲渡所得の3,000万円控除の特例 (20.1/10更新)
Q

 マイホームを売ったときの3,000万円の特別控除についてご教授ください。

 登場人物としては、
・現在居住している、自分名義ではない建物及びその敷地を売却予定のA
・建物の登記名義人であり、既に死亡しているAの祖母
・土地の登記名義人であり、既に死亡しているAの祖父
 の3名となります。
 売却予定の土地建物は、祖父母、父母、Aと、代々同居しながら生活をしていました。
 これまで名義変更の必要がなかったため、祖父・祖母の相続発生時共に、不動産の名義変更を行ってきませんでした。
 今回、不動産の売却を検討するにあたり、祖父名義である土地については、権利者から印鑑をもらう見込みがついています。
 しかし、祖母名義である建物については、権利者全員の印鑑をもらうことが難しい状況にあります。
 以上の状況において、土地のみA名義に変更し売却を行った場合、マイホーム売却時の3,000万円の特別控除の適用を受けることは可能でしょうか。
 必要であれば、事前に建物を取壊し、土地だけにして売却をすることも可能な状況にあります。


A  ご照会の文面では事実関係が不明ですが、Aは祖父名義の土地を遺産分割により取得することができ、かつ、Aは祖母名義の未分割の建物について相続による持分を有しており、当該建物について相続による持分を有している者で当該建物に居住している者はAのみであることを前提として回答します。

1 Aが祖父名義の土地を遺産分割により取得し、かつ、祖母名義の未分割の建物とともに譲渡した場合には、当該建物の持分と当該土地の譲渡所得について、措置法第35条第1項(居住用財産の3,000万円控除)に規定する3,000万円控除の適用を受けることができます。
※ 同条に規定する他の要件を満たすことが前提です。

2 祖母名義の建物を取り壊し、Aが遺産分割により取得した祖父名義の土地を譲渡した場合で次の要件を満たすときは、当該土地の譲渡所得について、措置法第35条第1項に規定する3,000万円控除の適用を受けることができます(措通35-2)。
 @ 当該土地の譲渡契約が、当該家屋を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ、当該建物を居住の用に供されなくなった日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡したものであること
 A 当該建物を取り壊した後譲渡契約を締結した日まで、貸付けその他の用に供していない当該土地等の譲渡であること
※ 同条に規定する他の要件を満たしていることが前提です。
 (注) Aが祖母名義の未分割の建物について相続による持分を有していない場合には、Aが祖父名義の土地を遺産分割により取得して当該土地を譲渡しても、当該土地の譲渡所得について、措置法第35条第1項に規定する3,000万円控除の適用を受けることはできません。


             (税理士懇話会・資産税研究会事例より)

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