相続税法第1条の4第2号では、日本国籍を有する者が、贈与の日前5年以内に日本国内に住所を有したことがある者から贈与を受けた場合には、その贈与を受けた者は、贈与税の無制限納税義務者となり、その贈与財産がどこに所在するかにかかわらず、贈与税の課税価格に算入されることになっています。
事例の場合は、乙は「米国籍を所得する見込み」であるとのことですから、現在は日本国籍を有する者であるとの前提で検討しますと、甲は「日本国内に住所を有している」ことから、「贈与の日前5年以内に日本国内に住所を有したことがある」という要件に該当することは明らかです。このことから、乙は、相続税法の規定によって、甲から贈与された財産すべてについて、贈与税の無制限納税義務者となります。
したがって、乙が甲から贈与された財産は、その財産が全世界のどこに所在していようとも、わが国の贈与税の課税価格に算入されることとなります。米国債、米国に所在する不動産いずれについても贈与税の課税価格に算入されるということです。
なお、この贈与について、米国で課税が行われた場合には、相続税法21条の8の外国税額控除が適用される可能性があります。
(税理士懇話会・資産税研究会事例より)
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