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【特設】『ウェブ版 資産税通信』(配信・運営:税務研究会)

今月の資産税事例

贈与税の課税時期の判定 (10.12/1更新)
Q  被相続人は、生前に長女と長男に対して、被相続人が所有していた土地の持分を10年間にわたって連年贈与していました。相続開始の2年前に全割合の贈与が終了しています。この贈与については、贈与契約書を毎年作成していましたが、贈与税の申告と所有権の移転登記は行っていませんでした。このため、土地の所有名義人は被相続人のままですが、相続税の申告においては、前3年内の贈与加算の分だけを相続財産に加算して申告を行えばいいと思いますがいかがでしょうか。

A

  この事例と類似した判決例があります。これは、公正証書によって財産を贈与し、贈与税の除斥期間が経過した後に、贈与を原因とする所有権の移転登記がなされた事例です。裁判では、その贈与の時期(贈与税の課税時期)は、公正証書作成のときか移転登記をしたときかが争われましたが、裁判所は、その贈与に関してその贈与を原因とする所有権移転登記が遅延したことについて合理的な理由は認められず、その贈与については、所有権の移転登記がなされたときに贈与契約の効力が生じたと認めるのが相当であるとして、公正証書作成時に贈与があったとする納税者の主張を斥け、所有権移転登記時の贈与として贈与税を課税した税務署の主張を認めています。(名古屋高裁平成10年12月25日判決)
  ご質問の贈与についても、贈与を原因とする所有権の移転登記が相続開始時までなされなかったことに合理的な理由がない限り、贈与の効力が生じていないと認定される可能性が高いと考えます。
  このため、その不動産は、その全てが相続開始時まで被相続人の所有に属していたものとして、被相続人の財産として相続税の課税価格に算入されることになるのではないかと考えます。  
                         (税理士懇話会・資産税研究会事例より)


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