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【特設】『ウェブ版 資産税通信』(配信・運営:税務研究会)

今月の資産税事例

埋蔵文化財包蔵地の評価 (11.2/1更新)
Q  文化財が埋蔵されている可能性のある土地に関しては、相続税の評価の面で減額の特例等があるのでしょうか。発掘費用を負担しなければならなくなる場合もありますが、事前にその費用を見積もって減額することは実際には困難です。たとえば、路線価によって評価した額を一律に1割減額するようなことが認められないでしょうか。

A

  路線価は、売買実例価額や公示価格、鑑定評価額等を基にして定められることになっていますが、その土地に特殊な事情がある場合には、売買実例等にそれが反映されているものと考えられます。
  ご質問にある文化財に関しては、その地域が埋蔵文化財包蔵地として指定がなされており、建物の建築や構造等が制限されているとすれば、それを前提として、売買実例価額や公示価格、鑑定評価額が成立しているといえます。このため、これらを参考として定められる路線価にもその事情が反映されていると判断されます。
  したがって、埋蔵文化財がある、あるいは埋蔵文化財包蔵地に指定されているというだけで評価額を減額することを、財産評価基本通達が予定しているものではありません。
  また、埋蔵文化財を発掘するかどうかは、その土地を開発するとか、その土地に建物を建築しようとする場合に、開発行為の申請や建築許可の申請に伴って生じてくるものであり、相続と直接に関係はなく、相続手続きにおいては発掘の要否は問われないと考えられます。このことからも、相続開始時に発掘費用を評価額から控除することに合理性はないといえるでしょう。
  しかし、ケースによっては、相続開始時において、発掘の実施が確実な情勢にある場合も考えられるところです。その場合には、通常の路線価評価によって相続税の申告を行っておき、発掘が決定した場合には、発掘費用の見積り額等を参考にして更正の請求を行うことになるものと考えます。  
                         (税理士懇話会・資産税研究会事例より)


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