固定資産税評価額の付されていない家屋の評価方法については、評価通達等で定めたものはありません。したがって、評価方法の定めのない財産の評価(財産評価基本通達5)によって評価額を算定することになります。
その場合の原則的な方法は、そのアパートに類似した付近のアパートの固定資産税評価額を基にして、条件等の差を考慮したうえで評価額を決定することになるものと考えます。しかし、類似した近辺のアパートを見つけることは実際問題としては極めて困難なことです。
そこで、ご質問にあるように、評価通達にある建築中の家屋の評価額である費用現価の70%相当額で評価することは妥当性があると考えます。
ところで、ご質問では、6月に新築したアパートを12月に贈与したということですが、税務当局からは、物件の贈与ではなく、建築資金の贈与であるとの事実認定がなされる可能性があります。贈与するために、あるいは、贈与することを予定してアパートを新築したのであれば、物件の贈与ではなく資金の贈与と認定されることに対して反論することは困難と考えます。
贈与を予定してアパート建設を行ったのではなく、贈与する理由がアパートの建築後に、後発的に発生したことを確実にしておくことが必要でしょう。
物件の贈与である場合には、そのアパートに贈与前、つまり新築した当時から借家人が全室に居住していれば、建物の評価額から借地権相当額を控除し、敷地については貸家建付地として評価することができます。
(税理士懇話会・資産税研究会事例より)
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