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【特設】『ウェブ版 資産税通信』(配信・運営:税務研究会)

今月の資産税事例

つなぎ融資による保証債務の弁済と譲渡所得の特例 (11.8/1更新)
Q    平成20年6月に保証債務1,000万円を代位弁済しました。この保証債務の履行には、銀行から借り入れた1,000万円を充てました。その後平成22年12月に所有土地を売却し、この売却代金の中から銀行からの借入金1,000万円を弁済しました。平成22年の土地の譲渡について、保証債務の譲渡による譲渡所得の特例を適用することはできるでしょうか。

A   保証債務の履行による譲渡所得の特例は、借入金で保証債務を履行し、その後その借入金を返済するために資産を譲渡した場合であっても、その資産の譲渡が、実質的に保証債務を履行するためのものであると認められるときには、適用があることとされています。
   そして、借入金を弁済するための譲渡が、保証債務を履行した日からおおむね1年以内に行われているときは、その譲渡は実質的に保証債務を履行するための譲渡であるとして取り扱うこととされています(所得税基本通達64−5)。
   この取扱いは、保証債務の履行のために資産を売却しようとしても、一般的に土地の売買契約は短期間に成立するものではなく、売買契約が成立するまでの間、保証債務を履行するためのつなぎ資金を借入金によらざるを得ない場合を想定した取扱いといわれています。
   つまり、つなぎ融資による弁済に特例を適用しないこととすると、特例の趣旨に反することから設けられている取扱いといえるわけで、土地の売買契約は1年の余裕があれば成立が可能であるとして、おおむね1年間という期間が設けられたようです。
   おたずねの事例では、保証債務の履行から土地の売買までおよそ2年6ヶ月の期間が経過していますので、「おおむね1年間」という猶予期間を大きく超えており、保証債務の履行のための譲渡として特例を適用することは困難ではないかと考えます。
                       (税理士懇話会・資産税研究会事例より)

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