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【特設】『ウェブ版 資産税通信』(配信・運営:税務研究会)

今月の資産税事例

係争中の損害賠償請求権の評価 (12.2/1更新)
Q   被相続人甲は、平成23年2月に死亡しましたが、この死亡の原因は平成23年1月の交通事故によるものでした。甲は、交通事故の加害者との間で損害賠償交渉の中途で死亡し、死亡後に相続人乙が交渉を引き継ぎ、平成23年5月に損害賠償金が1,000万円支払われました。この1,000万円は、未収金として甲の相続財産に含まれることになるのでしょうか。

A     交通事故の被害者である被相続人甲の損害賠償請求権は、本来の相続財産に該当し、その損害賠償請求権の評価額が相続税の課税価格に算入されます。損害賠償金1,000万円の支払いが相続開始時に確定していた場合には、その1,000万円が課税価格に算入されます。
    しかし、相続開始時には未だ係争中であり、金額が確定していない場合には、その損害賠償請求権の価額を財産評価基本通達210(訴訟中の権利)の定めによって評価して相続財産に算入することとなりますが、実務的には、相続開始後に確定した1,000万円が損害賠償請求権の価額になるものと考えます。
    ところで、民法上は、不法行為によって生命の侵害を受けた者(事例の場合には交通事故によって死亡した甲)の父母、配偶者、子は、民法711条の規定により、固有の損害賠償請求権を取得するものとされています。
    乙が加害者から支払いを受けた損害賠償金が、相続によって甲から取得した甲の損害賠償請求権に基づくものではなく、民法711条の規定による乙固有の損害賠償請求権に基づくものである場合には、甲の相続財産とはなりません。
    乙が受けた損害賠償金として所得税法上の非課税所得に該当します。
                       (税理士懇話会・資産税研究会事例より)

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