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【特設】『ウェブ版 資産税通信』(配信・運営:税務研究会)

今月の資産税事例

在外財産に対する相続税額の控除 (12.7/2更新)
Q    日本に居住するフランス人であるAに相続が発生しました。相続人は全員が日本に居住する日本人です。相続財産は、日本国内にあるものが5億円、フランス国内にあるものが5億円ですが、フランス国内にある財産は絵画であり、その評価額が不明であったため、国内の財産5億円だけで相続税の申告を行い、相続税額1億円を納付しました。その後、フランスにある絵画の評価額が5億円と確定するとともに、フランスにおける文化遺産に対する相続税の税率が50%であるため、税額は2億5,000万円となり、現在その絵画を物納する方向で検討しています。日本の相続税法によって相続財産10億円の場合の相続税額を計算すると3億円になりますが、すでに日本で納付した相続税額とフランスに納付する相続税額を合計すると3億5,000万円になり、算出税額を5,000万円上回ります。この5,000万円は、日本の税務署に更正の請求をして還付を受けることになると考えますが、それで間違いないでしょうか。

A    相続税法は、第20条の2において、外国にある財産を相続等で取得し、その財産に外国で相続税に相当する税を課された場合には、その税額相当額を、相続税額から控除することを規定しており、控除税額の計算についても定められています。
   しかし、同上のただし書きにおいて、外国で課税され、相続税額から控除すべき金額が、相続税法に基づいて計算された金額に、在外財産価額が相続等により取得した財産の価額のうち課税価格計算の基礎に算入された部分のうちに占める割合を乗じて算出した金額を超える場合には、超える部分の金額は控除しないこととされています。
   これを事例に当てはめてみますと、3億円×5億円/10億円=1億5,000万円となります。
   従って、1億5,000万円を超える部分の控除は認められませんので、更正の請求によって還付を受けることはできません。

                       (税理士懇話会・資産税研究会事例より)

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