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【特設】『ウェブ版 資産税通信』(配信・運営:税務研究会)

今月の資産税事例

土地建物の譲渡契約中に相続が発生した場合 (12.8/1更新)
Q    被相続人甲は、乙に土地を譲渡する契約を締結し、その一方で、丙から自宅用の土地建物を取得する契約を締結していましたが、乙に対して譲渡土地の引渡しをする前に死亡しました。また、自宅用の土地建物の引渡しも受けることなく死亡しています。甲の相続財産はどのように考えればよいのでしょうか。
   また、取得する契約を結んでいる自宅用の土地建物については、特定居住用宅地の減額が適用できるでしょうか。

A    平成3年の国税庁資産税課情報第1号によれば、土地または建物の売買契約中に売主または買主に相続が発生した場合には、次のように取扱うこととされています。
   @ 売主に相続が開始した場合
   相続開始までに買主から受領している手付金等は、現金あるいは預貯金として相続財産に含まれていますので、特に評価することはせず、譲渡代金の未収入金があれば、その金額相当額を残代金請求権として相続財産とします。
   A 買主に相続が開始した場合
   土地建物等の引渡しを受ける権利が引渡し請求権として相続財産に含まれます。引渡し請求権の価額は、土地建物等の価額に等しいと考えられるため、契約された売買代金相当額がその評価額となります。その一方で、相続開始時に土地建物等の対価の全額が支払われておらず、未払金がある場合には、未払金相当額を債務として債務控除の対象とします。
   ただし、買主については、相続税の申告に当たって、この「引渡し請求権」を「土地建物等」として申告した場合には、それを認めることとされ、その場合の評価額は、契約金額相当額ではなく、土地建物等としての評価額とされます。
   事例の場合についてこの取扱いを当てはめてみますと、まず譲渡する土地については、未収入金があれば、その金額を「残代金請求権」として相続財産に加算します。
   取得する自宅用の土地建物については、契約金額そのもので評価せず、土地は路線価評価等によって評価した金額、建物は固定資産税評価額を評価額とするのが有利となります。したがって、その金額を相続財産に加算し、未払金があれば債務として控除します。
   また、小規模宅地の減額特例については、買主の相続財産を「土地」として評価する以上、特例適用のためのその他の要件を満たしていれば、減額特例も適用できるものと考えます。ただし、明文の取扱いがありませんから、予め所轄税務署長と協議されるのがよろしいのではないでしょうか。
                       (税理士懇話会・資産税研究会事例より)

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