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【特設】『ウェブ版 資産税通信』(配信・運営:税務研究会)

今月の資産税事例

死亡退職金として現物支給された宅地と小規模宅地特例 (12.9/3更新)
Q    A社の役員であった被相続人は、A社が所有する土地を借りて自宅を建築し、死亡時までそこに居住していました。A社では、被相続人の死亡退職に伴って退職金を支給することになりますが、その一部として、被相続人に貸し付けていた自宅敷地を支給することを考えています。この土地は、被相続人が借地権を有していますので、借地権相当額は相続財産として申告する予定です。また、A社から死亡退職金の一部として支給される底地部分については、死亡退職金の非課税を適用しますが、それとともに特定居住用宅地等として小規模宅地の減額規定の適用は可能でしょうか。

A    相続税法では、「被相続人の死亡により相続人その他の者が当該被相続人に支給されるべきであつた退職手当金、功労金その他これらに準ずる給与」は、相続によって取得したものとみなす旨を規定しています(相続税法3条1項2号)ので、退職手当の現物支給の場合についても相続によって取得したものとみなされることになります。
   一方、小規模宅地の減額特例は、「相続または遺贈によって取得した財産のうちに」特定居住用宅地等に該当する宅地がある場合に減額が認められることとされています。
   そこで、事例の場合のように、死亡退職金として現物支給された宅地が「相続または遺贈によって取得した財産」に該当するかどうかですが、相続税法では、現物支給の起因となった「退職手当の支給」を、相続または遺贈によって取得したものとみなしているに過ぎず、現物支給の対象となった現物(事例の場合には土地)そのものを相続によって取得したものとみなす旨を規定しているわけではありません。
   このことから、死亡退職金として支給を受けた底地については小規模宅地の特例を適用することは出来ないと考えます。
   なお、借地権については、そのほかの要件を満たしていれば特定居住用宅地等として減額の対象となります。
                       (税理士懇話会・資産税研究会事例より)

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