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【特設】『ウェブ版 資産税通信』(配信・運営:税務研究会)

今月の資産税事例

賃貸借契約書が存在しない宅地の相続税評価 (13.1/7更新)
Q    被相続人甲は、甲自身が監査役をしている同族会社に宅地700uを貸し付けていました。地代は年額90万円で、貸付を開始した平成11年から一度も改定していません。また、無償返還の届出もしておりませんが、これまで借地権について認定課税は受けていません。被相続人は、これまで地代収入について不動産所得として申告をしていますが、賃貸契約書はなく、契約時に権利金を収受していたかも不明です。この土地の固定資産税額は毎年40万円ほどです。相続税評価に当たり、この宅地を貸宅地として評価することができるでしょうか。

A    ご承知の通り、賃貸借契約に基づいて貸し付けられた宅地は、借地権が設定された宅地として扱い、貸宅地として評価することとされており、自用地としての価額から借地権の価額を控除した額が評価額となります。
   これに対して、使用貸借によって貸し付けられていた宅地は、自用地として評価することになっております。
   事例の宅地が賃貸借契約によるものか、使用貸借契約によるものかを判断する必要がありますが、賃貸借契約書が存在していないとはいえ、固定資産税額の2倍を超える金額で貸し付けられていることからすれば、使用貸借に基づくものではなく、賃貸借に該当するとして評価するのが妥当であると考えます。
   ところで、賃貸借契約によって貸し付けられている土地のうち、相当の地代の支払いがある土地または無償返還の届出がなされている土地については、自用地としての価額から20%相当額を控除した金額で評価することとされています。
   事例の土地については無償返還の届出がなされていないということですから、支払われていた年額90万円の地代が相当の地代に満たず、通常の地代の範囲にとどまっていれば、通常の借地権が設定されている土地として、借地権相当額を控除した金額をもって評価額とすることが相当と考えます。

                       (税理士懇話会・資産税研究会事例より)

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