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【特設】『ウェブ版 資産税通信』(配信・運営:税務研究会)

今月の資産税事例

遺産分割協議前の預金口座の解約 (15.9/2更新)
Q

 相続人が妻と子の2人だけの相続において、相続発生後早期の時点で、金融機関に名義変更を促され、相続財産である被相続人名義の預金を金融機関で用意された書類により、すべて妻の名義に変更してしまいました。
 この時点では相続財産の全体の把握ができておらず、正式な遺産分割協議書を作成する前の段階でした。
その後、二次相続などを考慮して正式な遺産分割協議を行った結果、今回の相続において妻に名義変更してしまった預金を子に相続させることに相続人間で合意しました。
 相続人が金融機関に促され、預金名義を妻名義にした行為は、遺産分割協議の一部分割とみなされるでしょうか。


A  銀行の商慣習として、被相続人の遺産である預金等の相続解約に応じる手続きには、相続人代表による解約手続と、遺産分割協議が調った遺産分割協議書による解約手続の2形態があるようです。
 通常、銀行が預金者に相続の開始があったことを知った場合、その預金者名義の預金口座を凍結しますので、凍結があると相続人らが生活資金とするための預金の払戻しができなくなるという不都合が生じます。
 そこで銀行によっては、遺産分割協議が調う前であっても、相続人代表による被相続人名義の預金口座の相続解約手続きに応じることがあります。
 したがって、被相続人名義の預金口座に関し、遺産分割協議の開始前に被相続人の妻が相続解約手続きを行い、解約した預金のすべてを妻名義の預金口座に入金した一連の行為は、その妻が相続人代表として被相続人名義の預金を相続解約したものであると認められる余地があるようです。
 相続人代表の行為であれば、その妻個人が取得したと認めることはできないので、その後に行われた遺産分割協議が調った場合、それが遺産分割協議のやり直しであると認められる理由がないので、課税上の問題は生じないものと考えます。

                       (税理士懇話会・資産税研究会事例より)

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