ログアウト

【特設】『ウェブ版 資産税通信』(配信・運営:税務研究会)

レクチャー”相続税実務への近道”

財産及び債務・葬式費用の把握 (14.7/31更新)
1.受験と実務の違い
 受験において相続税の課税対象となる財産、相続財産から控除される債務・葬式費用はほとんど問題に示されていて受験者が考え探し出すものは少ない。したがって、受験において財産及び債務・葬式費用を把握する能力は必要なものではない。一方、実務においては極めて重要な能力であり、この能力によって相続税の申告が適正なものか否か決まってくる。
 適切に相続税の課税対象となる財産を把握しなければ、申告漏れとなり過少申告加算税や延滞税などを納税者が負担することになる。また、相続財産から控除される債務・葬式費用を適切に把握しないと過大な相続税の負担を納税者に強いることになる。
 いずれにせよ税理士の能力が大きく問われることとなるので、しっかりとした能力を身につけたいものである。

2.財産及び債務・葬式費用の把握
 財産及び債務・葬式費用を把握するに当たっては、一番詳しい被相続人に話を聞くことはできないため、その他の人や書類などを頼りに探すことになる。
(1)人を頼りに把握
@ 被相続人の次に詳しいのは同居していた家族と思われる。
A 被相続人が親しかった親類や友人に聞いてみる。
B 顧問をしていた弁護士・公認会計士・税理士は事業にかかる財産には詳しい。
C 被相続人が会社に勤めていた場合には、会社の人事部(総務部、経理部)の人から説明を受ければ死亡退職金や弔慰金、その他会社との債権債務などがわかる。

(2)書類をもとに把握
@ 固定資産税納税通知書
その市町村で所有する土地又は建物を把握できる。
A 金融機関からの送付書類
銀行や証券会社からの取引明細書や案内状などで取引金融機関が把握できる。
B 保険契約書又は保険会社からの送付書類
保管してある保険契約書や保険会社からの契約内容の確認書類などで保険契約のある会社が把握できる。
C 契約書
   金銭消費貸借契約書などがあれば債権債務などの把握ができる。
D 確定申告書
   過去の確定申告書の所得の状況により所有している財産が把握できる。
<例示>不動産所得は土地・建物、事業所得は事業用資産、配当所得は株式・投資信託など

(3)預金通帳の入出金状況から把握
@ 入金状況から把握
<例示>利息は定期預金・公社債、配当は株式、分配金は投資信託、地代家賃は土地・建物など
A 出金状況から把握
<例示>定期的な返済は借入金等、保険料は死亡保険金等、貸金庫代は貸金庫の中に金地金や債券など




資産税研究会(税理士懇話会)のご案内へ
≪≪ 前に戻る税務研究会ホームページ