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【特設】『ウェブ版 資産税通信』(配信・運営:税務研究会)

レクチャー”相続税実務への近道”

財産評価:土地(その2) (14.9/30更新)
1.路線価方式の評価
 路線価は、宅地の価額がおおむね同一と認められる一連の宅地が面している路線ごとに、 次に掲げるすべての事項に該当するものについて設定する。
  形)又は正方形のものであること。
すなわち、路線価は全ての宅地について個別事情を考慮して設定されているわけではない。したがって、それぞれの宅地の個別事情を考慮して評価するために各種補正率や斟酌方法などが財産評価基本通達に定められている。この各種補正率や斟酌方法などを正しく適用しないと高い評価額が算出されることになる。

2.主な各種補正率や斟酌方法など
(1)奥行価格補正、不整形地、間口狭小、奥行長大、がけ地における補正率
 奥行距離に応じた奥行価格補正率、く形(長方形)又は正方形ではない不整形地には不整形地補正率、間口が狭く奥行の長い宅地には間口狭小補正率と奥行長大補正率、がけ地にはがけ地補正率が定められている。
(2)無道路地
 道路に接していない宅地については、最大で40%減額できる斟酌が定められている。
(3)広大地
 著しく地積が広大な宅地で、その宅地を開発した場合に道路を通すなど公共公益的施設用地の負担が必要と認められるものについては、最大で65%減額できる広大地補正率が定められている。
(4)セットバックを必要とする宅地
 前面道路の幅員が4メートル未満の宅地については、将来、建物の建替え時等に建築基準法の規定に基づき道路敷きとして提供しなければならない部分(セットバック)を有する。そのセットバック部分については70%減額できる斟酌が定められている。
(5)都市計画道路予定地の区域内の宅地
 都市計画道路予定地の区域内となる部分については、最大で50%減額できる補正率が定められている。

3.路線価の設定されていない道路に面した宅地
(1)路線価の設定されていない私道などに面した宅地
 路線価の設定されていない道路のみに接している宅地は、その道路を路線とみなして特定路線価を納税義務者からの申出等に基づき設定し、その路線価を基に評価することができる。
(2)土地区画整理事業中の宅地
 土地区画整理事業中の場合に、路線価図に「個別(評価)」と表示されていることがある。この場合には、担当の税務署に「個別評価申出書」を提出して、設定された路線価を基に評価する。


4.実務の留意点
 土地の評価をするに当たっては、財産評価基本通達を理解し正しく適用することが大事である。しかし、それらの通達適用には税法知識ではないものも多くある。例えば、広大地補正率については、公共公益的施設用地の負担を必要とするか否かがポイントとなる。これは都市計画法の問題であり税法ではない。また、都市計画道路の補正率適用に当たっては、そもそも都市計画道路が予定されているのか、そして容積率等の認識も必要となる。
 さらにセットバックについては、宅地の問題ではなく前面道路の問題である。
これらのように、税法の知識だけでは解決できないこともある。都市計画法や建築基準法などの不動産に関する法律知識も必要であり、現地調査のみならず市区町村役場での調査も必要な場合もある。
 したがって、税理士になった後も情報収集や勉強が必要であり、また、助言をくれる税理士の仲間や不動産鑑定士などのネットワークなどもあると心強く評価実務が遂行できる。



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