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【特設】『ウェブ版 資産税通信』(配信・運営:税務研究会)

レクチャー”相続税実務への近道”

小規模宅地等の減額特例(その1) (15.1/6更新)
1.受験と実務の違い
 受験において小規模宅地等の減額特例の適用の有無や適用できる場合にどの減額パターンになるかを判断するための情報は問題に示されていて受験者が情報を収集する必要はない。したがって、情報収集能力は必要ではない。一方、実務において小規模宅地等の減額特例のための情報収集は、各種資料、現地調査、聞き取り調査などにより税理士がするものであり、この情報を基に適用判断できる能力が必要となる。
 すなわち、小規模宅地等の減額特例の適用要件(減額パターン)を熟知し、得た情報を基にその適用を判断し納税者へ説明しなければならない。そして納税者に適用する宅地等を選択してもらうことになる。
<主な必要情報>
・宅地等の面積
・相続開始直前の土地・建物の利用状況
・相続又は遺贈により宅地等を取得した者
・その取得者の相続後の宅地等の保有状況や利用状況

2.小規模宅地等の減額特例の適用要件と減額割合及び適用対象面積
区分 相続開始直
前の状況
要件
減額
割合
適用対象面積
事業用 被相続人の事業用(不動産貸付を除く) 「特定事業用宅地等」
親族が申告期限までの間に被相続人の事業を引き継ぎ、申告期限まで引き続きその宅地等を有し、かつ、その事業を営んでいる場合
80% 400u
生計一親族の事業用(不動産貸付を除く) 「特定事業用宅地等」
その生計一親族が申告期限まで引き続きその宅地等を有し、かつ、相続開始前から申告期限まで引き続き自己の事業の用に供している場合
80% 400u
居住用 被相続人の居住用 「特定事業用宅地等」
「特定居住用宅地等」
・配偶者が取得した場合
・被相続人の同居親族が取得し、申告期限まで引き続きその宅地等を有し、かつ、その建物に居住している場合
・その宅地等を取得した親族が相続開始前3年以内に国内にあるその者又はその者の配偶者の所有する家屋に居住したことがなく、かつ、申告期限まで引き続きその宅地等を有している場合(配偶者又は同居相続人がいない場合に限る。)。
80% 330u
生計一親族の居住用 「特定居住用宅地等」
・配偶者が取得した場合
・その生計一親族が申告期限まで引き続きその宅地等を有し、かつ、相続開始前から申告期限まで引き続き自己の居住の用に供している場合
80% 330u
同族会社の事業用 「特定同族会社事業用宅地等」
被相続人等の持株割合が50%超の同族会社の事業の用に供されていた宅地等で、その宅地等を取得した親族(申告期限において役員であるものに限る。)が申告期限まで引き続き有し、かつ、申告期限まで引き続きその同族会社の事業の用(不動産貸付を除く)に供されている場合
80% 400u
不動産貸付用 被相続人の貸付用 「貸付事業用宅地等」
親族が申告期限までの間に被相続人の貸付事業を引き継ぎ、申告期限まで引き続きその宅地等を有し、かつ、その貸付事業を営んでいる場合
50% 200u
生計一親族の貸付用 「貸付事業用宅地等」
その生計一親族が申告期限まで引き続きその宅地等を有し、かつ、相続開始前から申告期限まで引き続き自己の貸付事業の用に供している場合
50% 200u


3.実務の留意点
 相続財産の中に土地の占める割合は約50%である。その土地に関する特例の適用を誤ると相続税額に与える影響は大きい。特に都市部の相続事案では土地の評価額が高いため影響は大きくなる。
 また、当初申告で適用を選択した宅地等を修正申告で異なる宅地等に選択替えすることは原則としてできないため正確な判断が求められる。


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