ログアウト

【特設】『ウェブ版 資産税通信』(配信・運営:税務研究会)

レクチャー”相続税実務への近道”

住宅取得等資金の贈与に係る贈与税の非課税措置(その2) (16.1/29更新)
<適用要件の判定における留意点>
1.住宅取得等資金の贈与を受けて取得した住宅に翌年3月15日までに居住しない場合
 贈与を受けた年の翌年の3月15日までに居住しない場合であっても、取得した住宅用家屋を同日後遅滞なく受贈者の居住の用に供することが確実であると見込まれる場合には、一定の書類の添付により特例の適用が可能である。
 ただし、贈与を受けた年の翌年の12月31日までに受贈者の居住の用に供されていない場合は、特例の適用ができないため、修正申告書の提出が必要となる。

2.住宅取得等資金の贈与を受けて新築する住宅の完成が翌年3月16日以降になる場合
 請負契約により住宅用家屋を新築する場合、贈与の年の翌年3月15日において屋根を有し、土地に定着した建造物と認められる時以降の状態にある場合(新築に準ずる場合)で、完成した住宅用家屋を同日後遅滞なく受贈者の居住の用に供することが確実であると見込まれる場合には、一定の書類の添付により特例の適用が可能である。
 ただし、贈与を受けた年の翌年の12月31日までに受贈者の居住の用に供されていない場合は、特例の適用ができないため、修正申告書の提出が必要となる。

3.住宅取得等資金の贈与を受けて新築する住宅が翌年3月15日までに一部できている場合
 請負契約による「新築」の場合は、新築に準ずる場合も含まれるが、分譲マンションや建売住宅の「取得」は売主から引渡しを受けたことをいうこととされており、贈与の年の翌年3月15日において、その住宅用家屋が屋根を有し土地に定着した建造物と認められる時以降の状態にある場合であっても、引渡しを受けていなければ、特例を適用することはできない。

4.住宅取得等資金の贈与を受けて土地を購入した場合
 平成23年税制改正により、平成23年1月1日以降の贈与について、特例の適用対象となる住宅取得等資金の範囲に、住宅用家屋の新築(住宅取得等資金の贈与を受けた日の属する年の翌年3月15日までに行われたものに限る。)に先行してするその敷地の用に供される土地等の取得のための資金が追加された。

5.店舗兼住宅の床面積の判定
 店舗兼住宅の場合の床面積基準の判定については、居住の用以外の用に供されている部分の床面積を含めた家屋全体の床面積で判定することになる。
 なお、2以上の者で共有されている家屋の床面積基準の判定は、持分に対応する床面積で判定するのではなく、家屋全体の床面積で判定することになる。

6.省エネ等住宅の適用を受ける場合
    (1)省エネ等住宅(注1)〔平成24年3月31日 国土交通省告示389号・390号〕
       省エネ等住宅とは、エネルギーの使用の合理化に著しく資する住宅用の家屋、大規模な地震に対する安全性を有する住宅用の家屋又は高齢者等が自立した日常生活を営むのに特に必要な構造及び設備の基準に適合する住宅用の家屋をいう。
    (2)証明書など
       省エネ等基準(@断熱等性能等級4若しくは一次エネルギー消費量等級4以上相当であること、A耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上若しくは免震建築物であること又はB高齢者等配慮対策等級(専用部分)3以上であることをいう。)に適合する住宅用の家屋であることにつき、次のいずれかの証明書などを贈与税の申告書に添付することにより証明がされたものをいう。
       
      証明対象の家屋
      証明書などの種類
      新築した住宅用家屋 ・住宅性能証明書
      ・建設住宅性能評価書の写し
      ・長期優良住宅建築等計画の認定通知書等の写し及び住宅用家屋証明書(その写し)又は認定長期優良住宅建築証明書
      ・低炭素建築物新築等計画認定通知書等の写し及び住宅用家屋証明書(その写し)又は認定低炭素住宅建築証明書
      建築後使用されたことのない住宅用家屋 ・住宅性能証明書
      ・建設住宅性能評価書の写し
      ・長期優良住宅建築等計画の認定通知書等の写し及び住宅用家屋証明書(その写し)又は認定長期優良住宅建築証明書
      ・低炭素建築物新築等計画認定通知書等の写し及び住宅用家屋証明書(その写し)又は認定低炭素住宅建築証明書
      建築後使用されたことのある住宅用家屋(注2) ・住宅性能証明書
      ・建設住宅性能評価書の写し
      増改築等をした住宅用家屋(注3) ・住宅性能証明書
      ・建設住宅性能評価書の写し
      (注1)
      平成27年3月31日以前に上記の証明書などの申請があった場合は、省エネルギー対策等級4相当である住宅用家屋も対象となる。
      (注2)
      建築後使用されたことのある住宅用家屋の場合は、その取得の日前2年以内又は取得の日以降に、その証明のための家屋の調査が終了したもの又は評価されたものに限る。
      (注3)
      住宅用家屋の増改築等をした場合に、省エネ等基準に適合させるための工事であることについての証明がされた「増改築等工事証明書」を、「住宅性能証明書」又は「建設住宅性能評価書の写し」に代えることができる。

<実務上の留意点>
 上記のとおり、本制度には適用要件が多くその判定に細心の注意を払う必要がある。また、当初申告要件があるので期限後申告書又は決定について、本特例は適用できない。


資産税研究会(税理士懇話会)のご案内へ
≪≪ 前に戻る税務研究会ホームページ