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【特設】『ウェブ版 資産税通信』(配信・運営:税務研究会)

今月の資産税ニュース

最高裁 財産評価基本通達24をめぐり高裁判決を破棄差戻 (17.4/5更新)
 最高裁は、私道の用に供されている宅地が、評価を減額することのできる私道供用宅地に該当するか否かを争点とする訴訟で、国税当局の更正処分を適法とした東京高裁の判決を破棄し、東京高裁に差し戻す判決を行った(平成28年(行ヒ)第169号 平成29年2月28日 第三小法廷判決)

 この事案で問題となったのは、インターロッキング舗装(コンクリートをレンガ調に組み合わせた舗装)が施された幅員2mの歩道状空地。

 この歩道状空地と市道との間には若干の段差があるものの、特に出入りを遮るものはなく、外観上、車道脇の歩道として共同住宅の居住者等以外の第三者も利用することが可能な状態となっている。また、近隣の小学校の通学路として指定され、歩道状空地は児童らが通学に利用している。

 国税当局は、相続税の申告に際し、この歩道状空地は財産評価基本通達24にいう私道供用宅地には該当しないとして、更正処分を行った。

 財産評価基本通達24では「私道の用に供されている宅地の評価」について、私有物として勝手な処分ができるものでない私道の価額は評価しないこと、また、もっぱら特定の者の通行の用に供される私道の評価は、路線価方式または倍率方式のいずれかによって評価した価額の30%相当額で評価するとしている。

 国税当局の更正処分は、1審の東京地裁、また2審の東京高裁においても支持されたが、最高裁は、原審の東京高裁の判決を破棄し、事案を東京高裁に差し戻した。

 最高裁が、国税当局の更正処分を支持した高裁判決を破棄差戻としたことから、事案における私道については、今後の高裁の差戻審において、減額されることになる。

 最高裁は、原審を破棄し、高裁に差し戻した理由として、宅地の相続税に係る財産の評価における減額の要否及び程度は、私道としての利用に関する建築基準法等の法令上の制約の有無のみならず、その宅地の位置関係、形状等や道路としての利用状況、これらを踏まえた道路以外の用途への転用の難易等に照らし、その宅地の客観的交換価値に低下が認められるか否か、また、その低下がどの程度かを考慮して決定する必要があるべきとしている。




 

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