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【特設】『ウェブ版 資産税通信』(配信・運営:税務研究会)

今月の資産税ニュース

令和2年度税制改正大綱〜資産税関係〜 (20.1/10更新)
 令和2年度税制改正大綱が令和元年12月20日に閣議決定された。資産税関係では以下の改正項目が盛り込まれている。

1.配偶者居住権等に係る措置
 配偶者居住権又は配偶者敷地利用権が消滅等をし、その消滅等の対価として支払を受ける金額に係る譲渡所得の金額の計算上控除する取得費は、以下の金額とする。
取得費=居住建物等の被相続人に係る居住建物等の取得費×配偶者居住権等割合−配偶者居住権の設定から消滅等までの期間に係る減価の額

 相続により居住建物等を取得した相続人が、配偶者居住権及び配偶者敷地利用権が消滅する前に当該居住建物等を譲渡した場合における譲渡所得の金額の計算上控除する取得費は、以下の金額とする。
 取得費=居住建物等の取得費−配偶者居住権又は配偶者敷地利用権の取得費

2.低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除の創設
 都市計画区域内にある低未利用土地等を500万円以下で譲渡した場合、その年中の低未利用土地等の譲渡に係る長期譲渡所得の金額から 100 万円(長期譲渡所得の金額が 100 万円に満たない場合には、その長期譲渡所得の金額)を控除することができる。
〔要件〕
・市区町村の長の確認がされた低利用土地等である
・譲渡した年の1月1日において所有期間が5年を超えるものである
・配偶者その他のその個人と一定の特別の関係がある者への譲渡でない
・土地基本法等の一部を改正する法律(仮称)の施行の日又は令和2年7月1日のいずれか遅い日から令和4年12月31日までの間に行った譲渡である

3.国外中古建物の不動産所得に係る損益通算等の特例の創設
 個人が、令和3年以後の各年において、国外中古建物(耐用年数を以下@~Bの方法により算定しているもの)から生ずる不動産所得を有する場合において、その年分の不動産所得の金額の計算上、国外不動産所得の損失の金額があるときは、その国外不動産所得の損失の金額のうち国外中古建物の償却費に相当する部分の金額は生じなかったものとみなす。

@法定耐用年数の全部を経過した資産について、その法定耐用年数の20%に相当する年数を耐用年数とする方法
A法定耐用年数の一部を経過した資産について、その資産の法定耐用年数から経過年数を控除した年数に、経過年数の20%に相当する年数を加算した年数を耐用年数とする方法
Bその用に供した時以後の使用可能期間の年数を耐用年数とする方法(その耐用年数を国外中古建物の所在地国の法令における耐用年数としている旨を明らかにする書類等の添付がある場合を除く。)

4.所有者不明土地等に係る措置
(1)現に所有している者の申告の制度化
 登記簿等に所有者として登記等がされている個人が死亡している場合、市町村長は、その土地又は家屋を現に所有している者(現所有者)に、現所有者の氏名、住所など固定資産税の賦課徴収に必要な事項を申告させることができることとする。
 同改正は、令和2年4月1日以後の条例の施行の日以後に現所有者であることを知った者について適用される。

(2)使用者を所有者とみなす制度の拡大
 一定の調査を尽くしてもなお固定資産の所有者が一人も明らかとならない場合には、その使用者を所有者とみなして固定資産課税台帳に登録し、その者に固定資産税を課することができることとする。
 同改正は、令和3年度以後の年度分の固定資産税について適用される。

5.農地等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度の見直し
 都市計画法の改正を前提に、特例適用農地等の範囲に、三大都市圏の特定市の市街化区域内に所在する農地で、地区計画農地保全条例(仮称)により制限を受ける一定の地区計画の区域内に所在するものを加える。

6.特例の適用期限延長
〇2年延長
・特定居住用財産の買換え及び交換の場合の長期譲渡所得の課税の特例
・居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除等
・特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除等
〇3年延長
・医業継続に係る相続税・贈与税の納税猶予制度等※
※良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律の改正を前提
 

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