ログアウト

【特設】『ウェブ版 資産税通信』(配信・運営:税務研究会)

今月の資産税ニュース

解約不能外国信託めぐり納税者勝訴の判決 (11.6/2更新)
 名古屋地裁はこのほど、外国の信託会社との間で締結された信託契約をめぐる贈与税課税訴訟で、国側の課税処分を取り消し、納税者勝訴の判決を行った。
 この裁判は、日本に居住する祖父が、米国籍を有して米国に居住する孫を受益者として米国の信託会社と締結した信託契約をめぐるもので、受益者の父(委託者の子)を被保険者とする生命保険契約を委託者が購入し、被保険者が死亡した場合には、受託者である信託銀行が保険金を運用して、一定の場合に受益者に金銭が支払われる契約となっていた。
 また、この信託契約は解約が永久に不可能とされており、受益者への金銭の支払いは委託者の裁量に任される内容となっている。
 税務当局は、この信託契約の締結の時点で祖父(委託者)から孫(受益者)に贈与があったとして贈与税の課税処分を行い、これを不服とする孫が提訴していた。
 この事例は、日本国籍を有する非居住者について、居住者からの在外財産の贈与についても贈与税の課税対象とする相続税法の改正前のものであり、争点は、受益者たる孫が、当時の相続税法で在外財産の贈与について贈与税が課税されないこととされていた非居住者に該当するかどうかであった。
 国側が敗訴した武富士事件と同様の争点であったわけであるが、名古屋地裁は、この信託契約が永久に解約不可能とされており、受益者たる孫が一時金等を取得することが不可能であることから、贈与税の課税対象になるかどうかを判断するまでもなく、受益者たる孫には贈与された利益は存在しないとの判断を示し、贈与税の課税処分をとり消した。
 この判決を不服として国側は控訴しており、今後の推移が注目される。
 なお、この判決の内容は、税務通信3165に掲載されている。

資産税研究会(税理士懇話会)のご案内へ
≪≪ 前に戻る税務研究会ホームページ