譲渡損失の損益通算訴訟が国側勝訴で確定 |
(11.11/1更新) |
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平成16年度税制改正によって譲渡所得の損失について損益通算を適用しないこととされたが、この改正が平成16年1月1日以後の譲渡まで遡って適用されたことが憲法の租税法定の原則に反するかどうかで争われていた裁判で、最高裁はこのほど、憲法違反ではないとする国側勝訴の判決を行った。
同種の訴訟はこれを含めて3件提起されていたが、これで3件全てで国側勝訴が確定したことになる。
裁判では、納税者である原告は、損益通算を認めないこととする納税者が不利となる改正を、改正法の施行日より前に遡って適用することは憲法違反であると主張していた。
判決の中で最高裁は、4月1日に施行された改正法を施行日前の譲渡に適用することは、所得税の課税における法的安定性に影響することになるとしながらも、変更されるのは「納税者の納税義務それ自体ではなく、特定の譲渡にかかる損失により暦年終了時に損益通算をして租税負担の軽減を図ることを納税者が期待する地位にとどまるもの」であるとした。そのうえで、納税者にとって、損益通算による税負担軽減という期待に沿った結果は得られなくなるものの、それ以上にいったん成立した納税義務に加重されるものではないと判断している。
また、改正の内容自体についても、長期譲渡を有する場合には分離課税される一方で、譲渡損失が生じた場合には損益通算できるという不均衡を解消すべく立案された公益に基づくものであったと判断した。
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