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【特設】『ウェブ版 資産税通信』(配信・運営:税務研究会)

今月の資産税ニュース

養老保険による役員への資金移転で国側逆転勝訴 (12.2/1更新)
   平成23年度改正で、会社契約の養老保険の満期保険金にかかる一時所得の計算において、必要経費として差引くことができる金額は、給与課税された金額に限ることが明らかにされたが、この改正の契機となった裁判の判決がこのほど最高裁であり、高裁判決を破棄して国側の逆転勝訴となった。
   この裁判は、法人が契約した、役員を被保険者、死亡保険金の受取人を法人、満期保険金の受取人を被保険者である役員とする養老保険をめぐるもの。法人税基本通達では、満期保険金の受取人を法人、死亡保険金の受取人を役員等の遺族とする契約については定めがあるが、問題となった契約はその逆の内容で、保険期間も3年から5年と、通達が想定していない短期間とされていた。
   法人は、支払保険料の2分の1を損金算入し、残りの2分の1は被保険者である役員に対する貸付金として処理していた。
   その後、満期保険金を取得した役員は保険金で借入金を返済し、実質的に法人から役員に法人の資金が移転されることになる。満期保険金を受け取った役員は、所得税の申告で、会社が損金算入した金額も含めて、保険料の全額を控除して一時所得の金額を計算していた。税務署は会社負担分の控除を認めず、裁判になっていたもので、2審の福岡高裁では、納税者の主張を認め、税務署の処分が取り消されていた。
   今回の最高裁の判決では、一時所得の計算上控除する「その収入を得るために支出した金額」に該当するためには、収入を得た個人において自ら負担して支出したといえる場合でなければならない、として会社負担分の控除を認めなかった。

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