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【特設】『ウェブ版 資産税通信』(配信・運営:税務研究会)

今月の資産税ニュース

平成25年度税制改正大綱を決定 (13.2/4更新)
   1月24日、自民党・公明党が平成25年度の税制改正大綱を決定した。
   相続税、贈与税については、旧政府案で示されていた内容が大綱にほぼ盛り込まれた格好となった。相続税の課税ベースの拡大、最高税率の引上げ、累進構造の見直しが図られる。贈与税についても最高税率を引き上げ、税率構造を見直す。また相続時精算課税制度の適用対象の拡充等、平成23年度以降の税制改正法案で当初法案から削除され改正が見送られていた項目が並ぶ。
   そのほか、教育資金の一括贈与にかかる贈与税の非課税措置の創設や、事業承継税制の適用緩和等も図られる。

相続税の課税強化、小規模宅地特例を緩和

   相続税については、課税ベースを拡大するため基礎控除を現行の60%相当額まで引き下げる。
(現行)  5,000万円+(1,000万円×法定相続人数)
(改正案) 3,000万円+(600万円×法定相続人数)
   また、税率についても法定相続人の取得価額6億円超に55%を新設、現行の6段階を8段階として、超過累進税率の課税を強化する見直しも行われる。
   その一方、小規模宅地特例は居住用宅地の適用上限を240uから330uに拡大、事業用と併用する場合についても完全併用が可能となり、限度面積は最大で730uまで広げられる。
   また、居住用宅地については、二世帯住宅の場合の構造要件を撤廃し、老人ホーム等に入居し空き家となっている場合にも特例の適用を認めるなど、適用要件も緩和される。
   これら相続税と小規模宅地特例の居住用宅地の面積要件の見直しは平成27年1月1日以後の相続及び遺贈から、居住用宅地の構造要件等の緩和は平成26年1月1日から適用される。
   なお、死亡保険金の非課税措置は現行制度が維持されることとなり、旧政府案にあった法定相続人のうち生計一の者等に限定する見直しは行われない。未成年者控除・障害者控除は6万円から10万円に引き上げられる。

贈与税の税率構造を見直し、教育資金一括贈与の非課税制度を創設

   贈与税については、最高税率を相続税と同様に55%に引き上げ、暦年課税の贈与税の税率構造を、一般の贈与と、20歳以上の者が直系尊属から受けた贈与に区分、子や孫への贈与については一般の贈与よりも低い税率となる。
   相続時精算課税制度では、贈与者の年齢を60歳以上の者に引き下げ、受贈者に20歳以上の孫を加える。
   この贈与税の見直しは、平成27年1月1日以後の贈与から適用される。 また、祖父母や父母などの直系尊属が、金融機関に開設した子や孫名義の口座に教育資金を一括して贈与した場合に、子や孫一人当たり1,500万円まで非課税とする贈与税の特例措置が創設される。
   教育資金の使途は金融機関が領収書等で確認するとされ、子や孫が30歳に達する日に口座等は終了となる。この特例は平成25年4月1日から27年12月31日までの贈与に適用される。

事業承継税制の適用要件を緩和

   平成21年度税制改正で創設された事業承継税制については、要件が厳しく制度の利用が難しいとの声もあったことから、制度を活用する上での要件を大幅に緩和、また負担を軽減し手続きの簡素化を図る。
   雇用要件については、毎年8割以上確保から5年間平均で8割以上に緩和、親族外の後継者への相続・贈与でも制度の適用対象とし、役員退任要件については代表者を退任すれば、贈与後に引き続き役員であっても制度を適用する。
   納税猶予期間の利子税率を引き下げ、猶予税額の再計算特例を創設、納税猶予税額の計算方法の見直し、事前確認制度の廃止、提出書類の簡略化、手続きの簡素化等を図り、より利用しやすい制度とする。

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