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東京高裁 取引相場のない株式の評価をめぐり更正処分を取消す (13.4/3更新)
   2月28日、東京高裁は、取引相場のない株式の評価にかかり、課税庁の更正処分を取り消す判決を行った。課税庁が、上告しなかったことから、高裁の判決は確定している。
 事案は、相続により取得をした取引相場のない株式を「類似業種比準方式」により評価し税務申告を行ったのに対し、課税庁は、特定の評価会社である「株式保有特定会社」に当たることから、「類似業種比準方式」による評価は認められないとして更正処分を行った。
 財産評価基本通達では、取引相場のない株式の評価について、一般の評価会社の事業規模に応じた原則的評価方式を定める一方で、資産の保有状況、営業の状態等が一般の評価会社とは異なると認められる特定の評価会社の評価方式を定めており、大会社の総資産額に占める株式保有割合が25%以上の場合は、「純資産価額方式」又は「S1+S2方式」のいずれかの方式で評価するとしている。
 東京高裁は判決で、平成2年の評価通達改正後、会社の株式保有状況は、平成9年の独占禁止法の改正による持株会社の一部解禁等により大きく変化していることを指摘。平成2年当時、法人企業統計等に示された資本金10億円以上の会社の株式保有割合の平均値は7.8%であったことから、大会社にかかる株式保有割合25%以上という評価通達の判定基準には合理性があったが、平成15年度の法人企業統計を基に算定された資本金10億円以上の全ての業種の営利法人の株式保有割合は16.31%であったことから、評価通達の判定基準である25%と比して格段に低いとまではいえないとした。
 その上で、平成2年改正により定められた評価通達189の(2)の、大会社につき株式保有割合が25%以上である評価会社を一律に株式保有特定会社と定める判定基準は、平成16年の相続開始時において合理性を有していたとはいえないと結論づけ、一審の東京地裁の判断を踏襲し、国税当局の更正処分を取り消している。

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